50代で考えるマネープラン(8)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

50代で考えるマネープラン(8)

50代で考えるマネープラン(8)
 40代から知っておけば鬼に金棒です。

 <夫のプラン、妻の考え>

 ○カギはカップルにあり

 FPの相談業務をおこなってきて気付いたのは、成否のひとつは、カップルの両方にコンサルティングできるかにかかっている、ということだ。カップルの片方だけの相談にのり、その場では問題をはっきりとさせて解決策を見つけたとしても、顧客が答えを家に持ち帰って配偶者を納得させて動かせるかどうかはわからない。カップルで相談に来てもらえれば、その場で双方の意見の違いをはっきりさせた上で調整できるので、問題解決やプラン実現の可能性は格段に高くなる。

 一人で考えるか二人で考えるか。退職後プランについては特に重要な問題だ。
 私は趣味の関係で50代以降の男性の友人も多いが、彼らの多くは(わずかな例外もあるけど)奥さんとのコミュニケーションがかなり貧しい。退職後にあれをしたいこれをしたいと考えている人も多いのだが、それを妻と分かち合っているかというと、そうではなさそう。

 多くの50代の男性は、退職後は今までと違う生活を送りたいと考えている。もう混んだ通勤電車にゆられて、毎日会社に行かなくてもいいのである。住んでいるマンションを売って、自然の豊かな田舎や地方都市に移り住み、ゴルフや釣りや山歩きの趣味三昧の生活をしたいと夢見ている。

 一方で多くの50代の女性は、夫が退職しても同じところに住み今までと変わらない生活をしたいと考えている。生活のベースは今の住まいにある。友人もいるし子も近くに住んでいる。パートやボランティアの仕事も続けたい。買い物や病院、スポーツクラブなど都心の便利さは捨てがたい。

 夫が退職しても、妻は妻のペースで外出したり友人と旅行に行ったり、仕事や趣味の時間を持ち続けたい。家にいる夫の昼食、夜のつまみなどを作るのは大きな負担。いずれにしても、退職したからといって夫にずっと家にいられるのは願い下げだ。

 おそらく子どもが生まれた頃から、夫は夫の、妻は妻の、それぞれの生活のスタイルを築いてきたので、退職を機に一致させようとしても簡単ではない。
 ○違うことを前提に、まず話そう

 ところが不思議なことに、夫側は「妻は自分の考えを了解済み」「納得してくれるはず」と一人合点しているケースが少なくない。夫唱婦随とか、あうんの呼吸とか(かつていちども存在したことのないものを)未だに信じているようだ。しかし前述のように、妻は夫とは違う考えやプランを持っている。
 夫がひとりで、お金の計算をして運用のプランをたてても、実現の可能性は低くむなしい。退職後のプランをつくって実現するには、「夫婦で話しあう」ことがもっとも大切な第一歩なのである。

 話すときの大前提は「相手は違う立場にあり、違う考えを持っている」である。アメリカと中国が会談するくらいの心構えが必要だ。

 自分の考えを100%通そうとすると失敗する。まずは相手の考えを十分に聞いた上で、それに理解を示し、その上で押し付けがましくなく自分の考えを述べる「誠意」と「テクニック」が必要だ。

 そして、双方が納得できる落しどころをみつけることだ。
「自宅を売って田舎に移り住み、野菜を作って釣り三昧をしたい」夫と「今のところに住み続けて同じライフスタイルを続けたい」妻なら、自宅を売るのはやめて夫が地方に住まいを借りる。平日はそこで暮らし、週末は今の住まいに帰って妻と過ごすという生活が描けるかもしれない。妻が夫の住まいを訪ねてもいいだろう。

 大切なのは、2人の(合計での)満足度を高めることだ。片方だけが満足して片方は我慢というプランではやがて夫婦関係が破綻してしまうだろう。おりしも2007年4月から「離婚時の年金分割」が可能になる。子どもがすでに独立していて経済的な心配がなければ、あっさりと離婚に踏み切る女性は増えると考えられている。

「退職後の生活についての、夫婦が合意できるプラン作り」。これこそ現役時代最後で最難関のプロジェクトかもしれない。あせらずじっくり、作戦を立てて取り組んでください。

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