50代で考えるマネープラン(10)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

50代で考えるマネープラン(10)

 50代で考えるマネープラン(10)
  40代から知っておけば鬼に金棒です。

 <離婚による年金分割(1)>

 ○50代の最大の関心のひとつ

 公的年金制度への関心は、世代ごとに違う。20代30代なら「自分が60代になったとき本当に年金をもらえるのだろうか」という、制度そのものへの不信が大きい。50代はどうだろう。目下の最大の関心のひとつは「離婚による年金分割」ではなかろうか。

 「自分のところはまさか大丈夫」「いや、もしかしたらもしかするかも」もんもんとしながら、万が一の離婚のときの年金がどうなるか、コワくて調べられない人もいるかもしれない。「そんなこと調べているのを知られたら困る」という声も・・。

 何度かお話しているが、もっとも「たちが悪い不安」は不安の原因・正体がよくわからないというものだ。今日はすっきりするために「離婚による年金分割」の正体を明らかにしてみよう。

 ○分割されるのは「老齢厚生年金部分」

 サラリーマンの年金が2階建てになっているのはご存知だろう。1階部分は国民年金から払われる「老齢基礎年金(キソ年金)」。金額は加入期間で決まり、40年の全期加入の場合で年約79万円、22歳から60歳までの38年加入で約75万円だ。

 2階部分は厚生年金から払われる「老齢厚生年金(コウセイ年金)」で、加入期間とその間の収入によって金額が決まる。加入期間が38年でその間の年収(税込)の平均が500万円なら年約111万円だ。先のキソ年金と合計すると190万円となる。

 さて、離婚で分割されるのはコウセイ年金部分である。
 もう少し正確にいうと、この年金を受け取る権利が分割される。
分割できる権利の割合は、婚姻期間中の最大2分の1だ(※)。

(ケース)
 年金加入期間=婚姻期間=妻の専業主婦期間で、コウセイ年金の50%を妻の権利分と合意。上の例では55.5万円だ。(婚姻期間がこれより短ければ分割される年金額は少なくなる)

○離婚したときの年金額の例

 上の(ケース)の例で見てみよう。
 離婚した場合、夫は自分のキソ年金75万円と、分割されたコウセイ年金55.5万円で合計130.5万円の年金を受け取ることになる。
 妻は、自分のキソ年金(75万円とする)をもらい始めたときに、分割されたコウセイ年金55.5万円がプラスされ、計130.5万円の年金を受け取ることになる。
 これまでの離婚では、夫が妻へ慰謝料や財産分与として毎月一定額を払うと約束しても、実行されなかったり、しばらくしたら支払いが途絶えてしまうということがあった。これでは経済的に弱い立場にあった妻はたまったものではない。
 年金分割では、分割された年金額が夫と妻それぞれに直接支払われることになる。途中で支払いが滞ることもないし、夫の死亡で減額されることもない。安心である。

 しかし、実は離婚による年金分割では、夫婦がトータルで受け取る年金額は減ってしまうことがある。金額だけで考えれば、離婚せずに年金を受け取る方が得なのである。これは年金に扶養手当に似た「加給年金」の仕組みがあるからだ。

 これについては、次回(12月13日)に説明しよう。

※「離婚による年金分割」
  年金分割をする場合は夫婦が事前に合意しているか、家庭裁判所に申し立  てをし認められていることが前提。
  (2007年4月1日以降の離婚を対象とする)

(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)

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