お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
■お金の教育に必要な6要素
光栄なことにずっとこのメルマガに書かせていただいているが、03年1月15日と05年1月26日に同じ趣旨のことを書いている。すみません、今日も同じことを。
最近「金銭教育」が盛んになってきている。長くFPという仕事に関わってきた観点から、金銭教育に必要な要素は「働く(work)」「稼ぐ(earn)」「使う(spend)」「貯める(save)」「投資する(invest)」「寄付する(give)」だと思っている。
「働く」と「稼ぐ」は似ているが違う。家の中の仕事を家族が分担するのは当たり前なので、子の手伝いを小遣い制にするのは?である。母親や父親はお金をもらわずに家事や育児を分担するのだから、子も成長に応じて家のことをするべきだろう。そして生きていくために、男も女も「稼ぐ」手段を身につけなくてはいけない。
「使う」と「貯める」はバランスが大事。いろいろ試算した結果、働いている間(60歳か65歳まで)手取り収入の1〜2割を貯め続ければ、ふつうに家を買い、子に教育をほどこし、自分たちの退職後資金を準備できるという結論を得た。貯めるには消費の欲望をコントロールしなくてはいけない。子のこの能力を育ててやりたい。ノルマ分を貯められれば、後は自分の満足度を最大にするお金の使い方を工夫すればいい。
「貯める」には取り置くという意味合いが強いのに対して、「投資する」は商売をするに近い意味がある。株式を買うというのはその会社の一部を買うことだ。商売には損をする危険はつきものだが、事前に下調べをして慎重に手段を選び、欲を出しすぎず資金を分散させるなら、貯める以上の成果が期待できる。成功するには、テクニックと戦略、経験が必要だ。
■いちばん欠けていること・・・Give
そして「寄付する」。日本の金銭教育でもっとも欠けているのがこれかもしれない。あなたは今年、収入のどのくらいの割合を寄付しただろうか。
ロバート・キヨサキ氏は著書「金持ち父さん、貧乏父さん」の中でさらりと「10分の1税」について触れている。これは旧約聖書にある教えで「収入の10分の1を神へ返す」というものだ。神へといわれても私たち日本人は困ってしまう。そこで「助けを必要としている人へ寄付する」と解釈してはどうだろう。
個人的には今の時期、子どもと一緒に「クリスマス募金」をすることにしている。1万円は日本の子どもが小遣いの中から払える額だが、ワールドビジョンのHPには「食糧危機にある1家族に、1か月分の食糧(1日1人は、2245キロカロリーを基準に、穀物450g、豆50g、食用油30g、その他混合食50g、塩10g、砂糖30gとなります)を支援することができます(スーダンの例)」とある。1家族1ヶ月分の食糧。
小学生以上の子どもなら寄付をすることを通じて「為替」「経済格差」「温暖化」「戦争」などについて話し合い学ぶことができる。
もちろん「働く」「稼ぐ」「使う」「貯める」「投資する」と同じで、親が実践していないと子に教えられない。子に教えるためにはまず親がやってみせなくては。
だが10分の1というと年収500万円の人で50万円、年収1000万円の人で100万円!この記事を読んですぐに実行に移せる人はいないと思う(実行した人はご連絡ください!)。
そこで提案、1%ではどうだろう。年収500万円の人で5万円。決して少なくはないが不可能な数字じゃない。一括でなく毎月4200円ずつだっていい。
■寄付のおまけ・・・お釣りが来るかも
運用上手になるには、お金に対して「冷静」で「執着しすぎない」ことが大切だ。個人的見解だが、寄付をすることでお金に対する余分な執着を取り去ることができるのでは、と考える。「私のお金、私が稼いだお金、1円だって減らしたくない、私だけのために殖やして、私だけのために使うのよ」という思いから解放されるのではないかと。そうなれば、元を取ってお釣りが来る。
年末年始。自分や家族のためにお金を使ったり、プレゼントしたりされたりする時期だ。そのときに小さな「1%の勇気」を思い出してほしい。あなたのお金が世界をめぐって、どこかでひとつの命を救うかもしれないということを。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)
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