50代は生命保険の見直し時・1

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

50代は生命保険の見直し時・1

■生命保険料をたっぷり払っている50代

 退職に向けていかに貯めるか、いかに殖やすかを考える前にやっておきたいことがある。「生命保険の整理」だ。
 生命保険文化センターの調査(2006年)によると、1年間に払った保険料の平均は一世帯あたり約53万円(個人年金保険料も含む)。これは収入(税引前)の約8%にあたる。普段「生命保険料は手取り収入の5%以下が目安」とお話しているので、皆さんは私が推奨する額のほぼ2倍の保険料を払っておられるわけだ。
 世代別では55〜59歳が最も高く62万円、ついで50〜54歳が58万円。50代がいちばん多く保険料を払っている。

 ここに実は落とし穴がある。
 50代がもっとも大きな保障が必要だから保険料が膨らんでいるのではない。50代がもっとも収入が高く、保険料を多く払えるから膨らんでいるのだ。 多くの50代がいらない保障に無駄な保険料を払っているのを見てきた。あなたの生命保険も、保険料が膨らみすぎていませんか?

 年約140万円の保険料を払っていた50代の方の保険を見直し、保険料を約100万円カットできたことがある。年100万円は10年では1000万円だ。
 残したのは「医療保険」「がん保険」「年金保険」。カットしたのは死亡に備える保険(「定期付終身保険」や「定期保険」、大きすぎる「終身保険」)と割に合わない(払込保険料>受取保険金となる)「養老保険」だ。

■50代は死亡保障をカットするとき

 50代は、死亡保障を大きく減らせる年代だ。
 子どもが独立するので、万一のときにもはや子の生活費を残す必要がなくなる。このころにはそこそこの蓄えができ、死亡の際は会社から相応の「死亡退職金」が出、遺族厚生年金も払われるから、万一のときの妻の生活費もほとんど残さなくていいはずだ。

 子が大学を卒業するころには、理論的には「必要死亡保障額=ゼロ」になるケースが多い。葬式代を確実に保険で残したいなら、300万円くらい「終身保険」を残して、あとの死亡保障のための保険は全部解約してOKだ。

 300万円の終身保険なら、30代に入っていたのを継続するなら年間保険料は8〜12万円※くらいですむはず(60歳払済)。あらたに終身保険に入るなら、保険料は50歳で年約18万円※だ(65歳払済)。このほかに夫婦の医療保険、がん保険を加えても、保険料は年20〜40万円におさまる。終身保険いらない派なら10〜30万円ですむだろう。

 まずは、自分が入っている保険の保険証券を全部出してこよう。
 そして死亡保障にしぼって、以下をチェックしよう。証券からうまく読み取れなければ、この際、保険会社に問い合わせて確認しておこう。
・保険の種類は何か
・保障金額はいくらか
・保障期間はいつまでか
・保険料はいくらか(月額、年額、総額)

 末の子が20歳を過ぎていれば、ここに書き出した金額は全部、支払わなくてもすむものだ。かなりまとまった額になるのではないだろうか。不要な保険はすぐに解約し、大きすぎる保険は減額(一部解約)しよう。その分を、退職に向けての蓄えにまわしたり、今のゆとりのために使うことができる。

 ただし「医療特約」がついている場合は注意が必要。この「医療保障」は50代で保険を見直すときのもうひとつのポイントだ。これについては次回お話しよう。

(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)

※保険料はあくまでも一例。保険会社や条件によって異なる。

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