お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
■年に1度はたな卸しを
桜が咲いて年度が改まり、新入社員もやってきた。その分、自分の退職も近づいたことになる。昨年度よりもう一歩進めて、退職に向けた準備にかかりたい。50代になったら年に1度はやっておきたいのが、資産のたな卸しだ。
まず銀行預金、郵便貯金、株式、債券、投資信託などの金融資産の一覧を。 次に保険。年金保険、貯蓄型の保険(終身保険や養老保険など)、変額年金、外貨建て年金などがあれば、これらの現時点での価値(解約返戻金額)も調べよう。
自宅などの不動産を持っているなら、これも今ならどのくらいで売れるかの時価を調べよう。住宅ローンが残っていればその残高も調べる。売却したときに、差し引きどのくらいの現金が残るかを知っておこう。
会社員で50代なら、自分の退職金の額はだいたいめどがつくだろう。そこから逆算して、今なら退職金がどのくらいなのかの金額も出しておきたい。
■種類別に分類しなおす
以上の一覧表をつくったら種類別に分類しなおす。たとえば、次のようなカテゴリーに分けるのだ。変額保険は、保険ではなくそれぞれの投資先に応じて分類しよう。
1、預貯金
2、債券
3、保険(定額型)の解約返戻金
4、退職金見込み額
5、国内株式
6、外貨預金、外貨債券、外貨建て年金
7、外国株式
8、自宅などの不動産(債務を引いた額)
9、その他
表計算ソフトが使えるなら、カテゴリー別の金額を円グラフにしてみるといい。自分の資産がどういう配分になっているか一目でわかる。ある人は、資産のほとんどが1〜3の安定型のものに片寄っているかもしれない。保険ばかりで、預金も投資型の商品もほとんどない人もいるだろう。別の人は、株式はほとんどないのに外国債券の割合が非常に高くなっているかもしれない。
分類した結果から、自分の資産に何が足りなくて、何が多すぎるのかを読み取りたい。
個人的には、投資型資産(上記の5〜7)が金融資産全体の3〜5割、外貨建て資産(6、7)が1〜3割というのが、50代の健全なポートフォリオの目安だと考えている。
■足りないものを買い足そう
ポートフォリオの配分を変えるのはけっこう大変だ。預金が多く、株式が少ないからといって、定期預金を解約して株式を買うのは、現実にはハードルが高い。そこで提案したいのは、今のポートフォリオは大きく動かさず、これから作る資産、貯める分で全体のバランスを改善していく方法だ。
株式がほとんどないという人なら、給料とボーナスからの貯蓄の大部分を株式投信にすればいい。外貨資産が少なすぎる人なら、毎月の給料とボーナスから、外貨MMFや外国の株式に投資する投資信託に積立をすることができる。
現在の資産が2000万円で、退職までに1000万円の貯蓄ができる人なら、足りないカテゴリーの商品を積極的に購入することで、ポートフォリオのバランスを大きく改善することができる。それでも不十分なら、今持っている金融商品や保険の「解約」を検討しよう。
預金から株式や外貨資産にシフトする場合は、数年以上かけて「積み立て」で行うのが基本。預金のうち500万円を株式に移すと決めたら、たとえば月5万円ずつ2種類の株式投資信託の自動積み立てにする。4年あまりで資金移動が完了する。
■全体を見る目を持とう
資産運用で大切なことのひとつは、個々の商品や銘柄にとらわれず、自分の資産全体を鳥瞰することだ。年に一度の資産のたな卸しをし、カテゴリー別に分類する習慣を付ければ、その目はおのずと養われてくる。ぜひ実行して欲しい。
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