第 10 回 過去20年で急成長してきたこの業態

投資をするなら、個別銘柄に投資をしたいと考える方も多いはず。
個別銘柄投資をするなら、知っておきたい、業種別アプローチの考え方を紹介します。業種別に見るべき視点や考え方などをご紹介します。
コラム執筆:『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』の著者 長谷部 翔太郎氏(現在は更新しておりません)

第 10 回 過去20年で急成長してきたこの業態

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』の著者
の長谷部翔太郎です。お勤めの方は、ちょうどボーナスを手にされた頃でしょうか。この夏のボーナスは3年ぶりに前年比増加になった模様です。そこで、第10回目の連載となる今回は、消費関連である小売りから、特に専門店に焦点を当ててみることにします。

消費不振が続く中ながら、実は小売専門店は過去20年で最も急成長してきた業態の一つと言えます。これらは、紳士服、カジュアル衣料、生活雑貨、電化製品などに特化しつつ、年商1兆円を超える企業もあるなど、今や百貨店やスーパー・コンビニと肩を並べる存在にあります。専門店の強みは圧倒的な品揃えと大量仕入れから生まれる価格競争力です。日本の消費が嗜好に合致したモノを「選択」する時代へと変わる中、多種多様なニーズや、それに必要な専門知識などへの対応には、こういった専門店の誕生が必然でした。老舗の百貨店が売上減少に悩む中、過去最高売上を更新する専門店があるという事実は、そういった状況を如実に示しています。

本来、成長産業には長期保有型の株式投資戦略が有効です。しかし、大手の専門店の株価は確かに一時期までは長期上昇トレンドを示したものの、いまやボックス圏での推移にあるのが実状です。これは、専門店と一括りにすれば成長業種でも、個別にはそうではないためです。過去のある時点では時代の先駆者であったとしても、商品によっては既に成長局面を終え、成熟期に移行してしまっているのです。例えば、格安スーツ、フリースなどの商品を旗印にして急成長した企業などは、ブーム一巡後に逆にそれらのイメージ払拭に苦労を強いられました。業容急拡大に伴う歪みや後発企業追い上げによる過当競争などで、成長ピッチが急減速した例はたくさんあるのです(スーツはアオキのAOKIホールディングス、フリースはユニクロのファーストリテイリングです)。

言い換えれば、長期保有に適した投資タイミングというのは、「対象企業が革新的な手法・商品で市場を席巻するまで」、となります。斬新な手法・商品はどうしてもその継続性に疑問符が付きますが、そもそも長期保有戦略はそういった戦略・商品がホンモノかどうか見極めのつかないうちに投資をすることに意味があります。投資の王道、醍醐味として、玉石混交の中、キラリと光る企業を発掘してみましょう。実際、時代が追いつくのを待っている先鋭的センスを持った無名の専門店は巷にまだまだ存在しています。そのためには、実際に店舗に足を運んでみてください。店舗に活気があるかどうかを見るだけで結構です。アナログな判定法のようですが、活気のあるお店は将来大化けする可能性が比較的高いと判断できるためです。

一方、市場認知度が既に高い専門店では、株価のボックス圏を意識した投資が重要となります。それにはある程度の安値で投資することが必要ですが、その判断材料には「月次売上」動向が利用できます。月次売上は多くの専門店がHPなどで開示しています。それを見れば、売上傾向だけでなく、何かのきっかけで一気に売上が増える状況や、またその逆の現象なども短期間で把握可能です。いちいちチェックするのは面倒かもしれませんが、非常に有用な情報源であることは間違いありません。証券アナリストもこの数字を追っています。逆に、この変化を把握できないと、投資タイミングを見失うことになりかねないのです。

コラム執筆:

長谷部 翔太郎
証券アナリスト。日系大手証券を経て、外資系投資銀行に勤務。証券アナリストとして、日経や米Instititional Investors 誌などの各種サーベイで1位の評価を長年継続し、トップアナリストとして君臨する。外資系投資銀行で経営幹部に名前を連ねた後、現在は経営コンサルティング会社を経営する。著述業も手がけ、証券業界におけるアナリストのあり方に一石を投じる活動を展開。著書は、

『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を知っている』

『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』その他多数

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