シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)
さて、ヘッジファンドに投資する専門家たちはどのようなプロセスを経て最終決断に至るのでしょうか。最初の重要なステップはソーシング(発掘)です。
ヘッジファンドは「プライベート・インベストメント」(未公開投資)なので、上場企業のようにきっちりと整理された一覧表のようなものがある訳ではありません。新しいファンドは常に立ち上がっているし、逆に破綻するファンドもあります。ヘッジファンドに投資する専門家たちは試行錯誤と経験を積んで独自のソーシングの「エッジ」(優勢さ)を磨けなければなりません。
一般的にいうとソーシングには様々なレベルがあります。
(1) ヘッジファンド業界の雑誌やその他媒体からファンドやマネジャーのことを知る。近年は結構、種類が増えてきました。例えば、業界老舗のMARHedge, 大手のHedgeworld, そして最近では機関投資家向け雑誌のInstitutional InvestorでもAlternative Investment Newsという専門誌を出してきました。もちろん、オンライン版もあります。
(2) ヘッジファンドのデータベース・サービスにより、登録しているヘッジファンドを戦略、規模、パフォーマンス分析など様々なパラメーターにより選別。最近では、この類のサービスは増えてきましたが、Hedge Fund Research, Lipper TASS Research, Altvestなどが代表的でしょう。サービスによっては3000-6000ぐらいのヘッジファンドが登録されています。
(3) プライムブローカー(証券会社)による紹介。ヘッジファンドは、証券会社にとってはお得意様です。お得意様が投資家から預かっている資金が増えるということは、運用規模が拡大し、自分たちのビジネス・チャンスも増えますので、積極的にヘッジファンドと投資家との接点の場を設けます。ヘッジファンド・コンファレンスを開催する場合もありますし、個別にヘッジファンドを投資家に紹介するCapital Introductionというサービスも行っています。ただ、プライムブローカーはヘッジファンドの売買手数料というより、株式の貸出業務(HFの空売りのため)のほうが厚い収益源となるので、株式がらみ戦略のヘッジファンドの紹介のほうが多くなります。
さて、これまでのステップは、どちらかというと「公開」された情報源です。大切な情報であることには間違いないですが、これだけでヘッジファンドを発掘するようであればヘッジファンドに投資するプロとしてのエッジがあるとは言えないでしょう。次のステップが充実していることが必要です。
(4)独自のネットワークからの紹介。ヘッジファンドはピープル・ビジネス。人が何よりも大事です。ヘッジファンドに投資するプロはそれまでの経験により積み上げてきて、信頼に基づく人のネットワークがあります。場合によっては、自分たちと同じようにヘッジファンドに投資するプロとの間の情報交換、若しくはその他の専門家や関係者からの紹介かもしれません。特に重宝するのは、自分たちが良く知っている優秀なヘッジファンド・マネジャーから「こいつは面白いよ、会ってみたら」という紹介です。信頼おける人からの紹介であれば、例えば売れっ子ヘッジファンド・マネジャー側も安心しますので、「アクセス」しやすくなります。この「アクセス」については次回。
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