シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)
前回はリスクを数値化するために標準偏差やそれを調整した分析手法を紹介しましたが、話をもうちょっと簡単にしましょう。定量分析は過去に歩んできた道に光を照らしているだけですから、それほど難しくなくてもファンドのリスク・リターンの本質を捉えることはできるはずです。
例えば、投資をしているときに何が一番気になりますか?それは、もちろん、いくら儲かって、いくら損をしているという「収益の軸」でしょう。しかし、これも気になりませんか?儲かっているときと損をしているときという「時間の軸」です。
デイ・トレーダーであれば今日は儲かった、または損したという勝敗を気にするでしょう。他の投資家によっては今週、今月という単位かもしれません。長期投資家のように「目先の動きはなんて関係ないよ」と言っている人たちでも大局的に儲かっている時期や損をしている時期は頭に入っているはずです。
前回に紹介した標準偏差などヘッジファンドの収益性の分析では月次データを基に計算されていますので、勝敗も月単位で検証してみましょう。例えば1年間の内、9勝3敗(75%)から10勝2敗(83%)の勝敗率のファンドに投資していたらかなり安心しますよね。11勝1敗(92%)や12勝0敗(100%)であれば、確かに絶対的リターンファンド、と大喜びでしょう。
しかし、仮に6勝6敗(50%)でも、一年間を通じて儲かっていることもありえますね。例えば、「勝った月」の平均リターンが2%で、「負けた月」の平均リターンが1%であれば、年間は6%儲かったことになります。この勝敗平均リターンのスプレッド(差異)も過去のパフォーマンスを検証するときにちょっと役に立ちそうです。
このスプレッドを「縦の軸」にして、勝敗率を「横の軸」にして様々なヘッジファンドのパフォーマンスを図表にしてみれば、当然ながら、優秀なヘッジファンドは図の右上の領域に現われてきます。大体、勝敗率が75%以上、勝敗平均リターン・スプレッドが1%以上であれば、それはかなり良いパフォーマンスを出しているファンドです。
統計学に長けている人がみたら叱られるかもしれないほど単純な分析ですが、各ヘッジファンドの過去のパフォーマンスを比べる際には参考になるものだと思います。
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