ヘッジファンド投資のプロセス (6) 定量分析 相関性

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

ヘッジファンド投資のプロセス (6) 定量分析 相関性

 今回のテーマは相関性です。例えばAの価格が1%上昇したら、Bの価格も1%上昇する。この場合は、相関性は1.0になります。そしてAが1%上昇したらBが−1%下落するようでは、相関性は−1.0。一方、Aが1%上昇しようと−1%下落しようと、AとBの価格の動きがお互いにまったく無関係の場合は、相関性はゼロになります。

 ヘッジファンドの実績を分析する際、この相関性は重要な統計です。何故でしょう?

 ヘッジファンドは、その他「伝統的」なリスク商品との代替と言われますが、一般的に比較されるのはやはり株式です。ヘッジファンドXとヘッジファンドYが高い収益性の好実績を残しているとしましょう。ただ、Xの場合は、株式市場と相関性が高く(1.0に近い)Yの場合は、株式市場と相関性が低い(ゼロに近い)。過去の実績を基に定量的に投資判断するのであればどちらのヘッジファンドを選びますか?

 それはYでしょう。Xの場合は、株式市場が下落基調に入るベア・マーケットになった場合には良いパフォーマンスが期待できないことを高い相関性が示唆しています。一方、株式市場と相関性が低いYの場合であれば、株式市場が下落しても、しっかりと収益を上げてくれる可能性があると過去の実績は言っています。伝統的な株式市場が上昇しようと下落しようと、絶対的な収益を出してくれるのが優秀なヘッジファンドです。

 ただ、いくら優秀なヘッジファンドであると言っても、投資家のリスク・マネジメントとしては複数のファンドに分散投資をしたいところです。ということは、ひとつのヘッジファンドと株式市場との相関性ということだけではなく、ポートフォリオに組み込む各ヘッジファンド同士の収益性の相関も検証したほうが無難でしょう。

 それぞれ長い目で絶対的に良いリターンを上げている複数のヘッジファンドであっても、各ファンドの足元の経過に損益の凸凹がそれぞれ違うパターンを持っていれば、ポートフォリオ全体としてはなだらかな収益性になるので安心しますね。相関性が低いパーツで組み合わせるポートフォリオの有利性は特に難しい理屈ではありません。

 もちろん、過去に相関性が低いといっても、今後その相関性が低いという保証は決してありません。そして同じ時間の軸で相関性を比べることも重要です。所詮、過去の分析で将来を占っているので定量分析では統計数値が生じた背景も常に頭に入れて置くことが重要です。

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