シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)
有望なヘッジファンドを発掘し、厳正なデューデリジェンスを経て、ポートフォリオに配分した後は、ファンドのパフォーマンスを定時的に確かめる「モニタリング」のステップです。
10年ぐらい前から比べると、ヘッジファンドの情報開示へのスタンスもかなり変わってきました。以前は四半期毎の報告というのが珍しくなかったのですが、現在では、週毎にファンドのNAV(Net Asset Value、純資産価値)を投資家に報告するヘッジファンドが多くなってきました。
日毎のケースもあります。例えば、私が以前勤めた大手ヘッジファンドは、かなり非公開主義なところではありましたが、最近では、日毎のNAVを五日営業日後にサイトで発表しています。(もちろん、サイトにアクセスするためにはパスワードが必要ですが。)
ただ、ヘッジファンド側から自ら週毎に報告しないところも多くあり、例えば投資家から電話してヒアリングしなければならないというケースもあります。ただ、投資家からのどのように依頼があっても、月毎にしか応じないヘッジファンドもあります。このようなファンドは、情報開示と経済的なパフォーマンスは必ずしも一致していないと考えているからです。
もちろん、NAVという数字だけでは自分のヘッジファンド投資が儲かっているか損をしているかということは把握できても、「何故」儲かっているか損をしているかはわかりません。従って、投資家としてはもうちょっと「色付け」がほしいところです。
また、この色付けもファンドの考え方によって開示の充実さはかなりのバラツキがあります。どのような資産クラス、どの地域で、どれほどの金額(またはその他、Value At Riskなどリスクを数値化したもの)を投資しているかという情報、または運用状況を文章に落とした定期的なレポートを配布するところもあれば、まったくというほど情報開示が乏しいファンドもあります。
ただ、情報開示がそれほど良くないファンドでも、投資家として一律的に投資対象から除外できない場合もあります。特にその投資家の顧客や内部への「説明責任」が経済的収益を上げるということが重視されていれば、情報開示が理想ではなくても、ファンドのパフォーマンスを取るということは計算的なリスク・テイクになります。
このリスクをマネージするために投資家は何ができるか?ひとつは、いくら「秘密主義」のヘッジファンドであっても、マネジャーと直接面談やその他手段で対話できるような立場であれば、現在の状況や自分の考えは、レポートのように文書化しなくても、口頭では伝えてくれる場合もあります。このような能動的なモニタリングのほうが定時的に配布されるレポートより充実した情報になります。
ただ、もちろんこのような関係を築くことは安易ではありません。何かがあると過剰に反応して直ぐにコンタクトしてくるような神経質な投資家と話すことはマネジャーにとって自分自身の神経の集中度を崩す要因にもなりますので、返って敬遠してしまう次第を招くでしょう。一方、マネジャーにとって話すことが何かファンド運用へのメリットになるような良き投資家のほうが効果的なモニタリングを行うことができるということになります。
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