シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)
さて、先週のコラムの続きですが、マネックス・ビーンズのお客様ご自身が行動を取れる範囲で最も「有望な市場」は日本株であって、特にマイクロ株・小型株が面白いのではないかと、私は思います。
それは何故か?日本株式ロングショート戦略に特化しているヘッジファンド多くがこの分野に注目しているか、場合によってはこの分野に特化している理由と同じなんです。それは、マイクロ株・小型株は多くの証券アナリストのカバレッジ対象や機関投資家の投資対象になっていないからです。
個人投資家が投資のアクセスしやすいのは公開企業ですが、日本国内の上場企業の総数を知っていますか?何と、現在は約3700社です。その内、大口投資家や証券アナリストが投資して分析する株式は時価総額トップの数百社に集中しています。要は、ほとんどは未開拓地であるわけです。
会社の時価総額の大小と関わらず、調査に費やす時間や取り組みはそれほど変わりません。しかし、投資家がいっぺんに投資できる大きさは時価総額や取引高に直接関係があります。要は、大きな資金額を投資しなければならない立場では、効率的に投資できるのは時価総額が大きいか、もしくは取引高が高い株式に限られてしまうのです。証券アナリストとしても同じように、投資家が大きく取引してくれる株式の分析に偏ってしまいます。
ただ、大勢の参加者の色々な角度から見られている企業の株式は、それなりに企業価値と比べて同等な、もしくは割高な市場価格で取引されている場合が多いです。一方、それほど脚光を浴びていない会社の株式のほうが割安に放置されている可能性が高い。競争率が低いほうが、良い投資ができそうだという理屈はわかりやすいですね。
機関投資家のような大口投資家は、例え良いマイクロ株・小型株を見つけて買いたいと思ってもほんの少しか買えない。無理に買おうとすれば、それは小池にクジラが暴れているようなもの。大口投資家が株式を買う額を小額に抑えたとしてもて、仮にそれが上昇しても、その株式のポジションは彼らのポートフォリオ全体の成績にはほとんど影響はない。だったら、そもそも買うことを考えるだけでも時間の無駄になってしまいます。
もちろん、ヘッジファンドは一般個人投資家より大きな金額で株式に投資しますが、マイクロ株・小型株戦略に特化しているような有望なヘッジファンドは意図的に自分たちが投資家から預かる運用資金を抑えて、機関投資家のポートフォリオより遥かに小さく維持しますので、比較的に機敏にこの領域に投資できる訳です。
先日、渋谷区にオフィスを構える、マイクロ株・小型株戦略特化型ヘッジファンドを訪問した際に、彼らは「自分たちの領域の投資の競合相手は、個人投資家しかいない。しかし、我々は、個人投資家と比べて情報エッジを持っている」と述べていました。その情報エッジとは、例えば投資対象の企業の経営トップなどと面談を頻繁に設けて、投資判断材料を得るということに当たります。
もちろん、一般個人と比べればプロである彼らに有利性はあります。だから、彼らのような運用者にお金を預けることは、自分の個人資産を運用することに有望な選択肢です。
ただ、個人が自身でも個別の株式投資することも個人資産運用の重要な選択肢です。その場合は日本に住む日本人ですから、外国にある企業より、日本にある企業の情報のほうがもちろん入りやすいですね。情報が入ることで、投資は有利な立場に立てます。これもわかりやすい理屈ですね。最近の中小上場企業の経営者は、昔と比べると個人投資家を意識し始めているのは確かです。そういう意味で、工夫はもちろん必要ですが、個人投資家と経営者との距離感は一般的に思われているほど遠くないのかもしれません。
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