PEファンド投資 時間軸のリスク分散

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

PEファンド投資 時間軸のリスク分散

プライベート・エクイティ(PE)ファンド分野に新しい投資家が戸惑うのは、ファンドへの投資資金の入出金です。通常、ファンドに投資すると判断すれば、そのファンドを「買って」、投資資金を一括に支払うというのが常識とされているでしょう。ただ、PEファンドは、ちょっと違う方式を取ります。
 投資家がファンドに投資決断を下し、契約書をファンドと交わすことで投資期間が開始しますが、この時点ではコミットメント(約束)と言います。この時点でマネジメント・フィー(年間管理費)支払い義務が生じて、ファンドはその額を(通常は四半期毎に)投資家にコール(請求)します。

 えぇ?まだ投資もしてもいないのに、投資家は、お金を払わなければならないの?と思うかもしれませんが、マネジャーは投資案件の発掘やデューデリジェンス(自前調査)の段階に既に入っているので投資期間は開始しています。
 実際にマネジャーが投資先に決断した段階で、ファンドは投資家にその案件に必要な投資資金を比例的に投資家からコールします。また別の投資先が決まれば、またその時点で投資資金をコールします。このような繰り返しにより、PEファンドの初期段階では資金が流出しますが、長期投資なので投資資金を回収できるのは数年先になり、いわゆる「Jカーブ」が発生します。

 通常、投資案件から資金をエグジット(出口)により回収できた資金は、その時点で投資家に返還しますので、返ってくる資金も一括ではなく、バラバラに戻ってくることになります。

 このような性質を持ったPEファンドに投資する投資家は、やはり心構えが必要です。それは、環境に応じた相場観やタイミングでPEファンドを「買う」のではなく、長期的なPEファンド投資プログラムに、まさにコミット(結束)することです。

 下手なPEファンド投資の仕方は、そのとき、そのときの状況によってPEファンドに投資したり、しなかったりすることです。恐らく、この分野で最高なエグジットという「実績」を見て、運用資金が殺到しているときに投資をしてしまう。これでは有望な投資条件にたどり着く可能性は低いです。

 PEファンド投資は、ある程度の額を毎年、必ずコミットすることです。そうすれば、様々な段階(発掘、デューデリ、投資、価値創造、エグジット)の様々な投資案件を投資家は同時に持てます。投資家の資金流出・流入も時間的に固まることもありません。時間軸のリスク分散で最良なPEファンドマネジャーと長期的な関係を築くことがPEファンド投資の基本です。

マネックスからのご留意事項

「オルタナティブのランダム・トーク」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧