型にはまる投資の限界パート(1)

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

型にはまる投資の限界パート(1)

ロサンゼルスに行ってきました。某商社系証券会社のG氏を株式ロング・ショート戦略に特化するファンド・オフ・ファンズを運営する私のビジネス・パートナー達に紹介して打ち合わせすることが主な目的です。共同創業者の二人は、それぞれ30年ぐらいファミリー資金をヘッジファンドに投資をしている経験者であります。

 彼らは長年の経験上、どのような環境でもリスクに対して良い収益を常時的上げられる可能性が高いのは株式ロング・ショート戦略であるという結論に到っていて、運用環境に応じて機動的にポートフォリオを運用できるようなマネジャーを好みます。買いと売りの比率を常に中立にすることに縛られていないようなマネジャーです。このようなマネジャーたちは基本的に買い越し(ネット・ロング)が多いのですが、場合によっては売り越し(ネット・ショート)になるようなマネジャーもいます。

 「日本の機関投資家の間では、ヘッジファンドに投資する理由はアルファを確保するためにと言われていますが、御社が組み込むマネジャーさんたちは市場方向性のリスクも取るようですね」とGさんが問いかけました。

 アルファとは、市場の方向性に依存しない超過収益源のことです。この収益源は何らかの原因で生じる市場の「非効率性」。例えば、ある株式の市場における需給バランスが短期的に崩れたときとか、その企業の情報が公開されていてもその分析などの認識が市場へ広がっていない場合、もしくは過剰に反応している場合にこの非効率性が生じます。

 要は、非効率的な市場であればアルファが存在し、そのアルファを市場から取り出すのがヘッジファンドであり、市場が上昇しようと下落しようと収益を上げることができるという考えです。一方、市場全体の方向性から生じる株式の収益性は、その株式のベータといいます。

 しかし、アルファを市場から掘り出すことはヘッジファンドマネジャーにとって最も重要な要素ということに賛同しながらも、ボイジャーの二人にとって市場中立性に縛られるような戦略はしっくりしません。

 それは、常に中立性に保つという縛りがあれば、そのヘッジファンドのポートフォリオには、マネジャーのベストアイデアの株式に資金が効能的に配分されていなく、場合によっては市場中立性を保つための「詰め物」の株式も入るからです。このような「詰め物」が入ってしまえば、期待リターンが下がってしまうのではないか、というのが彼らの考えです。

 なるほど。「型」から入ろうとする運用の限界は、理論と実際の差にありそうですね。

次回に続く。

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