ヘッジファンドの奴ら−イレーン(某米大手ヘッジファンドの人間像)

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

ヘッジファンドの奴ら−イレーン(某米大手ヘッジファンドの人間像)

「彼女は、外見に惑わされて甘く見ないほうが良い。タフだぞ。」と私に耳打ちしてくれたスタン。怖いもの無し、と思っていたスタンがこれほど言う人物はどのような女性なのか?

 約10年前、ムーア・キャピタル本社に面接に来ていた私は、ディーリング・ルームの角にある社長室に案内され、おっかなびっくり部屋に入りました。ショートカットの金髪の中年女性のイレーンが、笑顔で迎えてくれてNice tomeet youと手を差し伸べてくれました。ただ、確かに真顔になると眼が鋭く、こちらも真剣勝負で対応しなければという緊張感が身体に走りました。

 イレーンは、ムーア・キャピタルの社長COOであって、会社のビジネス側の責任者でありました。創業者兼会長CEOはルイスですが、彼は基本的に運用に専念しているので、日常的のビジネス・マターおよび組織マターはイレーンが仕切り、ルイスの調整役という面も持っていました。彼女がいなければ、ムーア・キャピタルは、現在は存在しないのではないかと私が思うほど、あの組織には重要な人物であります。

 イレーンの前職は、コモディティ・コーポレーションの幹部であり、実は、ルイスが駆け出しマネジャーのときにシード運用資金を与えた張本人でもあります。

 コモディティ・コーポレーションは、現在、あまり知られていない運用会社でしょう。何故かというとゴールドマンサックスが97年に買収しているからです。しかし、実はコモディティ・コーポレーションは、もっとも偉大なヘッジファンドマネジャーのインキュベーションハウスでありました。ルイスだけではなく、ポール・チューダー・ジョーンズ(老舗大手のチューダー創業者)、ブルース・コブナー(老舗大手のキャックストン)、などヘッジファンド業界の大物がぞくぞくと、ここからスタートを切っています。

 ゴールドマンが眼を付ける前に、このコモディティ・コーポレーションと共同運営会社を発足していたのは実は、日本の会社、オリックスなんです。その共同運営会社の責任者は、イレーンでありました。その当時、イレーンの下で働いていた日本人の方々は口を揃えておっしゃいます。「イレーンは、怖かったなぁ。。。」

 イレーン自身は、ファンド・マネジャーではありませんが、マネジャーのマネジャーという立場で長年のキャリアを積んできました。わがままな、じゃじゃ馬のマネジャーを手綱でしっかりと収めるのが彼女の仕事。タフでなければ勤まりません。

 ムーア在中、私に対してイレーンはとても好意的であり本当に良く面倒を見てくれました。ただ、一回だけ、ある勘違いで私にカミナリが落ちたことがあります。いや、あれは爆弾でしたね。凄い・・・

 ただ、彼女はとてもフェアな人物であります。そして行動が早い。彼女とミーティングをしているときに、何回も「そうか、わかった」と、その場で電話を取って、話し合っている内容を直ぐに行動に移している場面がありました。頼りできるお母さんみたいな存在です。

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