ヘッジファンド戦略(7) 転換社債裁定 CBアーブ

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

ヘッジファンド戦略(7) 転換社債裁定 CBアーブ

企業の資本構成の中で転換社債という株式と債券のハイブリッド商品があります。Convertible Bondの省略でCBと呼ばれることもあります。企業から発行された時点では債券であることは確かですが、同じ位の債券と比べて金利は低く設定してあります。何故かというと、あらかじめ設定された株価で、債券を株式に転換できる「オプション」が付いているので、そのオプション料を金利分で払っている訳です。

 株価が横ばいか下落するようであれば転換社債は、債券として償還されるので、債券のように価格は変動します。しかし、その企業の株価が上昇すれば株式に転換できるので、上昇するほど転換社債は株式のように価格が上昇します。
 同じ企業が発行する株式と、株式のように価格変動する転換社債というふたつの商品。ここで潜在的価値と市場時価にずれが生じているようであれば、裁定取引のチャンスがありそうです。転換社債の潜在的価値の根源は、債券を株式に転換できるオプション価値です。

 もし株価がべったりとまったく動かないような状態の場合には市場時価が転換株価を上回る可能性はかなり低いです。転換できる可能性が低いのであれば、転換できるオプションの価値は少なくなります。一方、株価が乱高下するような状態になれば、市場時価が転換価格を上回る可能性は高くなります。転換できる可能性が高くなるのであれば、転換できるオプションの価値も高くなります。

 株価の変動が今後高まると思うのであれば、このオプションが組み込まれている転換社債は割安なので買いになります。一方、今後この変動が少なくなるのであれば転換社債は割高で売りになります。

 ただ、いくら転換社債を割安で買えたとしても、企業業績などが悪化した場合、価格は下落するでしょう。この下落リスクに対するヘッジが株式の空売りです。株式の変動のほうが債券の変動より大きいので、株式の空売りの金額は債券より少なめに売ります。株価が下落するほど、転換社債は債券のような性質になりますので、価格変動は少なくなります。従って、株価と転換社債の価格が下がるほど、株の空売りは収益を上げることができます。

 一方、株価が上昇するような局面では、転換社債の性質はどんどん株式のようなものになっていきます。従って、株価が上がるほど、金額が大きい転換社債が収益を上げ、金額が小さい株式の空売りの損失を上回ってきます。

 ですから転換社債を買って、株式を空売りする裁定取引は、株価が上がろうが下がろうが、株価の変動が高まれば、高まるほど収益が出る構造になっています。逆に変動が低くなると、厳しい展開になります。

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