ミニ小説【男泣きから鉱山王へ】 ベンチャーキャピタル投資:明治スタイル

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

ミニ小説【男泣きから鉱山王へ】 ベンチャーキャピタル投資:明治スタイル

第三章

 明治時代は、まさしくビジネス革命の動乱期であった。ひとつの企業の倒産が他の企業の連鎖倒産につながる可能性がある厳しい現実の中、古河市兵衛のように逆境が大成功のきっかけを作った実例もある。

 古河市兵衛をはじめ、この時代のベンチャー企業家を支援した第一人者であった渋沢栄一は、『企業家の心得』という訓言を残している。

(1)其の事業は果して成立すべきものなるや否やを探究すること。(きちんとし たビジネス・モデルがあるか。)
(2)個人を利する共に国家社会も利する事業なるや否やを知ること。(起業家自 身にとっても、社会にとっても利益が上がるビジネスであるか。)
(3)其の企業が時機に適合するや否やを判断すること。(創業のタイミングが適 切であるか。)
(4)事業成立の暁に於てその経営者に適当なる人物あり否やを考えること。(き ちんと経営できる人材を確保できているか。)

 明治でも、平成でも、500社でも、1社でも、新しい事業を立ち上げる際にはこのように普遍的なベンチャー精神の心得が必要である。

 ただ、「個人の利」には長けているベンチャー企業家でも、「社会の利」について関心がないか、仮に口に出していても、それはお金集めの手段としか考えていないような例が目立つ昨今である。このふたつの利が両立しなければ、永続的な富はない、と渋沢栄一は当時のベンチャー企業家に訴えていた。現在のベンチャー企業家には、何を呼びかけるのであろうか。

 一方、このような平成ベンチャー組では絶対に見られないスタイルが明治時代にあった。それは「ちょんまげスタイル」。そして、古河市兵衛はその張本人。明治33年。西暦では1900年の9月28日。古河市兵衛は、渋沢栄一など懇意の人を招き断髪式を行う。時代の潮流には逆らえず。

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