金融機関にだまされない方法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

金融機関にだまされない方法

マネックスメールでこんなことを書くのも何だか矛盾しているかもしれませんが、金融機関にだまされてはいけない、が今回のテーマです。

毎年新しい金融商品が発売されています。その中で人気化するヒット商品もありますが、後から調べてみると実は「買ってはいけない」商品であった、ということがありました。

そんな商品の共通点は、「リスクに合ったリターンが提供されていない」これに集約されます。購入した投資家の方が、無駄なコストや手数料を負担することになってしまうのです。

同じリスクでリターンが3%と4%の商品があるとすると、後者が良いということは誰でもわかります。では、個人投資家が有利とは言えない商品がなぜヒット商品になってしまうのでしょうか。

その理由は
1.一見有利な数字だけを全面に出す
2.いくつかの商品を組み合わせて販売する
3.商品を複雑にしてコストがわからないようにする
こんなカラクリはしっかり見抜かなければなりません。具体例で説明しましょう。

1.一見有利な数字だけを全面に出す
最近人気だという元本確保型投資信託も仕組みをよく確認してみましょう。例えば基準価額9000円(つまり10%下落)までに下落幅が限定されているという投信があります。しかし、運用状況を見てみると、日経平均に連動するファンドを数%、残り90%以上は円建マネーファンドに投資されています。マネーファンドとは騰落率ほとんど0%のファンドです。そして販売時の手数料は1%となっています。

この商品、良く考えると90%を元本保証の普通預金に置いて、残りを日経平均に連動するインデックスファンド(手数料がかからないノーロードのものもあります)に投資するのとリスクは変わりません。それなのに販売手数料は投信全体にかかりますから、日経平均に連動する部分だけに換算すると、10%以上の手数料を払っているのと同じことになります。

2.いくつかの商品を組み合わせて販売する
定期預金と投資信託を組み合わせた商品にも注意しましょう。例えば、ある銀行では投資信託と6ヶ月定期を一定金額以上、半分ずつ購入すると、6ヶ月定期に2%の金利がつく、という商品を販売しています。投資信託はいくつかの中から選択できるようになっていますが、これには販売手数料がかかります。
例えば合計で100万円を買付けた場合、50万円の6ヶ月定期の金利は2%の半年分ですから5千円。ここから20%課税されると4千円です。一方、投資信託は50万円に2%の手数料ですから約9800円の手数料がかかります。これなら普通の定期預金をして、日経225に連動するノーロード(無手数料)の投信を買った方が経済的です。定期の金利は低くなりますが、投資信託が無手数料なので、購入のときにかかるコストがゼロだからです。

3.商品を複雑にしてわかりにくくする
少し前まで新聞の全面広告で良く見かけたEB債。商品によって違いはあるものの、大まかに言うと高いクーポンの債券を発行し、償還時に転換対象として指定されている株式が行使価格を下回ると現物の株式(値下がりしたもの)が渡される商品です。つまり株が上がると(ハイクーポンですが)債券のままで、株が下がると株になってしまうというものです。

問題はその価格の設定です。通常の個人投資家であればオプションの価格計算などできませんから設定水準が妥当か判断できません。リスクに比べリターンが劣るものであっても判断ができないのです。投信のように毎日の価額が発表されてもいません。

正しい商品を選択できるようにするには
1.理解できない商品には手を出さない。
2.実際に手数料や税金などのコストを計算してみる。
3.リスクに見合ったリターンなのか考えてから投資判断を行う。
が大切です。

新しい商品や、仕組みが複雑な商品は特に注意して確認をしてみましょう。一般に金融商品とは色々組み合わせると、その分コストがかかり、買う時の判断も難しくなるので避けた方が良いでしょう。

(マネックス証券 資産設計部 内藤忍)
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