2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
先週のこのコラムで投資信託にはインデックスファンド(パッシブファンド)とアクティブファンドがあるという話をしました。今回はそのうちのインデックスファンドについて、今週・来週と2回に分けてくわしく説明してみます。
● インデックスとは?
そもそもインデックスとは何なのでしょうか。簡単に言えば、日本株、海外債券といったカテゴリーの市場の全体の動きを示す指標です。例えば日本の株が全体にどんな動きだったか、というような場合日経平均やTOPIXといったインデックスの数字が役に立つわけです。
自分の持っている株式の値上がり率をインデックスと比較すれば相対的なパフォーマンスを知ることができますし、投資信託などでは特定のインデックスをベンチマーク(相対評価の基準になるもの)と決めて、それをどの位上回ったかで評価をすることもあります。
● 「日経平均」「TOPIX」はどうやって計算されているの?
日本の株式市場で使われているインデックスの中で、最も有名なのは日経平均(正確には日経平均株価)です。毎日のニュースで1万円台回復とか、報道されない日はほとんどありません。しかしこの日経平均をどうやって計算しているのか知っている人は少ないのではないかと思います。
日経平均は簡単に言うと、225銘柄の株価を単純合計して、株式分割など企業価値に変動がないのに株価が変動した場合の修正を行い計算されます。式で言うと、
日経平均 = 225銘柄の株価合計 ÷ 除数
※除数は株式分割などの際に補正を行っていく数字
です。株価で合計されているということと、225銘柄が入れ替えられることが特徴です。
日経平均に比べ、知名度ではやや劣りますが、TOPIXも日本株式のインデックスとして使われています。こちらは、単純平均ではなく東証1部上場全銘柄の時価総額を指数化したものです。
● では日経平均とTOPIXどちらが良いインデックス?
同じ市場にいくつかのインデックスが存在するということはそれぞれに一長一短があるということです。では良いインデックスの条件とは何なのでしょうか。
いくつかの条件を上げてみます。
1.継続性があること − 社会の変化と共に市場を構成する企業も入替わります。しかしインデックスを構成する銘柄に一貫性がなければ指数としての信頼がなくなります。
2.一般の認知度が高いこと − 良いインデックスでも一般に知名度が無ければ意味がありません。
3.マーケット全体との連動が高いこと − 市場の全体の動きを正確に把握できなければなりません。
4.恣意性がないこと − 特定の組織によって銘柄などが決められると恣意性が発生する可能性があります。
例えば日経平均とTOPIXで比較すると、継続性やマーケット全体との連動はTOPIXの方が優れていると言えますが、一般の認知度は日経平均の方が高いと言えます。年金運用などプロの世界ではTOPIXが標準になっていますが、個人投資家の世界では日経平均が一般的です。
● 日経平均の銘柄入替問題
継続性に関して、2000年4月に起こった、日経平均の銘柄入替問題を例に説明します。
日経平均は定期的に、銘柄入替えを行いますが、2年前の入替時には225銘柄のうち30銘柄を入れ替えました。この入替には次のような問題が発生しました。
1.銘柄の発表から実施までに日経平均に以前組入れられていた銘柄が売られて下落。一方新しく組入れられる銘柄が値上がりした結果、日経平均が市場の動きと約10%乖離しました。
2.その結果、日経平均連動型の商品を保有している投資家は市場の実際のリターンを約10%下回る結果となりました。
3.入替え銘柄は30銘柄でしたが、時価ではインデックスの50%以上であったことから、指数の継続性に問題が発生しました。
この続きは来週進めていきます。
(マネックス証券 資産設計部 内藤忍)
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