2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
インデックスファンドは地味で目立たない運用です。最近では、ユーロ、中国株、金、といった運用対象が流行りもののようにマネー誌で紹介されています。しかし、資産運用で肝心なのは、流行を追うことではなく、運用対象を決めて、実行し、愚直に続ける意思ではないでしょうか。
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「インデックス」って何?(2)
先週からの続きです。
(バックナンバーはこちらから3月15日分をどうぞ)
http://www.monex.co.jp/free/monexmail/backno/backno.html
<先週のまとめ>
インデックスとはそもそも何なのか、そしてその目的を説明しました。日本株式のインデックスと言えば、「日経平均」と「TOPIX」が有名ですが、それぞれにインデックスの条件を満たしている部分、問題がある点を指摘しました。日経平均とTOPIXどちらが良いインデックスなのか?は一長一短があり単純に結論は出せませんが、日経平均には銘柄入替に伴う問題が発生した過去があります。
今回は米国の株式市場のインデックスについて、そしてインデックスファンドの活用方法について話を進めます。
● 米国株式でもインデックスの事情は同じ
日本のインデックスに関しては、例えば2000年4月に日経平均の銘柄入れ替えに伴い問題が発生したことを書きました。市場の一部の銘柄だけでインデックスを作る場合、入替えという事態になり、その際に継続性の問題が多かれ少なかれ発生します。日経平均は知名度と言う点では日本を代表するインデックスですが、改善の余地も残しています。
海外ではどうなのでしょうか。「投資の」先進国、米国を見てみましょう。米国の株式インデックスで最も有名なものはNYダウ工業株30種平均です。こちらは米国のみならず日本でも連日報道されています。通称「NYダウ」と言われるインデックスです。
NYダウにも日経平均同様の問題が存在します。まず組入れられている銘柄数が30と少なく、個別株式の動きに影響を受けやすい。また時価総額ではなく単純平均であるという問題もあります。米国株式の指標としては、より市場全体の動きを反映する指標としてS&P500という指標もあります。こちらはS&Pが選んだ500銘柄から構成されるインデックスです。NYダウに比べ銘柄数は大幅に増え、指標としての市場全体への連動性は高まると言えますが、銘柄入替の問題は残ります。
米国株式市場全体をカバーする「ウィルシャー5000トータル・マーケット・インデックス」という優れたインデックスがあります。これはニューヨーク証券取引所、アメリカン証券取引所、そして米国ナスダック店頭市場で通常取引されているすべての米国普通株式で構成されるもの。組入銘柄数は約6000銘柄です。
マネックス証券で販売しているバンガード・グループのバンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンドはこのウィルシャー5000に連動した運用成果を目指すインデックスファンドです。アメリカ全体の株式市場に投資したいという投資家向けの商品です。残高も円貨で2兆円以上の巨大ファンドですが、インデックスとしての知名度ではS&P500インデックスには及びません。
どこの国でも知名度とクオリティは必ずしも一致しないようです。
● インデックスファンドの使い方
最後にインデックスファンドに関してまとめておきましょう。
インデックスに連動するインデックスファンドを利用すれば市場全体と同じ動きをする資産を持つことができます。個別銘柄の動きに左右されない、マーケットそのものへの投資は魅力です。ただし、今まで見てきたようにその前提となるのはマーケットに連動するインデックスによるインデックスファンドを活用することです。
日本株式のインデックスファンドで資産設計するのであれば、ノーロードで信託報酬がなるべく低いTOPIX連動型あるいは日経平均連動型の投資信託を毎月定額で積立してことになります。
TOPIX連動型のファンドには市場の動きをより正確に表示できるという優れた特性があります。ただし、日経平均に比べ認知度が低いのが難点です。一方日経平均には銘柄数の少なさ、入替に伴う問題、などインデックスとしての問題点が指摘されていますが、一方で指標としての知名度は圧倒的です。
マネックス証券では現時点では日本株式のインデックスファンドは
「日経225ノーロードオープン」だけの販売となっています。しかし、TOPIX連動型のインデックスファンドも販売すべきと考えています。個人投資家の方に多様な選択肢を提供できるからです。
一方、米国株式であれば知名度からいえばNYダウということになりますが、ウィルシャー5000のような市場との連動の高いインデックスが存在します。
共通して言えることは、完全なインデックスは存在しないということです。1つの市場に複数のインデックスが並立しているということは、逆に言えばそれぞれに一長一短があるからとも言えます。
長期の資産設計の観点からは、インデックスの差異を知ることも重要ですが、資産のどの程度を各市場に振り向けるかを決定し、実際にインデックスファンドを使っての運用を実行に移すことの方が大切ではないでしょうか。
(マネックス証券 資産設計部 内藤忍)
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