2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
株式に配当があるように投資信託には分配金というものがあります。そして無配の株式があるように分配金を出さない投資信託も存在します。日本の株式で無配といえば、経営状態があまりよくない場合が多いですが、投資信託はどうなのでしょうか。
● 分配金には20%課税
投資信託の分配金には税金がかかります。国内投信でも外国投信でも分配金額に対し20%が源泉徴収されます。100円の分配金が出ても手元には80円ということになります(普通分配金の場合)。
● 分配金を出せばその分基準価額は下がる
投資信託の価値に変動が無ければ、分配金を出すと基準価額は下がります。例えば、基準価額が12,000円の投信が1,000円を分配し、その間組入れ銘柄の価値が変わらなかったと仮定すると基準価額は11,000円に下がります。分配金が出る直前にファンドを購入したいという投資家の方がいらっしゃいますが、分配金分は基準価額が低下しますので、分配金に20%税金がかかる分だけ資金が減ってしまうことになり、賢い投資方法とは言えません。
● どっちがトクか考えてみよう
基準価額10,000円で購入した投信が20,000円に上昇。分配金が1,000円の場合、20%課税されて分配金の受取額は800円。一方、分配金ではなく自分で1,000円解約した場合、解約金額のうちキャピタルゲイン部分に20%が課税されます。つまり500円に対して20%ですから、受取金額は900円です。これは国内投信の個別元本方式が採用されている投信の普通分配金の場合です。
● さらに契約型外国投信になると・・・
契約型外国投信であればキャピタルゲインには税金がかかりません。マネックスで販売している米ドルMMFやバンガード社の投信はすべてこれに当たります。分配金には20%が課税されますが、解約の場合は値上がり分にも課税されないと言うことです。
最近毎月分配型の商品が人気を集めているようです。分配金が口座に振り込まれると何となくうれしくなってしまうものです。自動的に振り込まれる利便性はもちろんありますが、逆にフィデリティ・日本成長株・ファンドのように設定以来(4年以上ものあいだ)分配金を一度も出していない商品もあります。このファンドでは投資家の利益を考えて分配しないというポリシーを持っています。分配金を支払う場合、ファンドの資産を売却する必要があり、結果として売る必要のない銘柄を売却せざるを得ないというデメリットがあるからです。
<今回のまとめ>
分配金が口座に振り込まれるとうれしいけど、使ってしまうと複利運用にならないデメリットがある。でも年金生活者が家賃収入のような感じで、受け取るのは便利。でも長期の資産設計のための投信なら、分配金は少なめが良い。
分配金があるファンド=(イコール)良いファンド、ではないということは頭に入れておきましょう。
(マネックス証券 資産設計部 内藤忍)
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