長期投資は報われるのか?(2)

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

長期投資は報われるのか?(2)

先週は1970年1月から2002年5月までの月末の日経平均株価を使って保有年限別のリターンを計算した結果をお見せしました。もう一度見てみましょう。
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    平均リターン 最大リターン  最低リターン 上昇した期間の割合−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
5年  50%     276%   ▲55%    66%
10年 140%    492%   ▲59%    76%
15年 292%    919%   ▲53%    92%
20年 377%   1505%    26%   100%
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(データ提供:フィデリティ投信)
データの計算方法について読者の方からご質問を何通かいただきましたので、簡単にもう一度説明します。例えば10年の結果の計算は次のように行います。
<データ1>1969年12月〜1979年12月
<データ2>1970年1月〜1980年1月
・・(以下1ヶ月づつずらしてリターンを計算)・・・・・
<データ269>1992年5月〜2002年5月

と269の期間の数字を計算し、その平均、最大の値上がり期間、最大の値下がり期間、全期間のうち上昇した期間の割合、を計算。5年のデータは329個、15年のデータは209個、20年のデータは149個になります。
● 数字を見てみると・・・
データ結果を見ると次のようなことがわかります。
1.期間が長くなると平均のリターンは上昇する
2.期間が長くなると最大のリターンも上昇する
3.最低のリターンは15年まではあまり変わらない
4.期間が長くなると上昇した期間の割合も上昇する

● バブル崩壊の影響
1989年12月に38,916円の最高値をつけた日経平均は現在も低迷を続けており、この10年の影響がリターンに大きな影響を与えています。最低のリターンとなった期間を見ると
5年   1990年6月〜1995年6月
10年  1991年9月〜2001年9月
15年  1987年5月〜2002年5月
20年  1982年1月〜2002年1月
となりいずれも1990年代が運用期間に含まれています。

● 期間が長いほどリスクは大きい?
統計学の理論通り、運用が長期になるとリターンのブレが大きくなっていることがわかります。しかし、そのブレの方向は上向きであることに注意が必要です。平均のリターンが長期になれば高くなるため、長期になってリターンのブレが大きくなっても最低のリターンはあまり変わらなくなっているということです。

変動率という意味でのリスクは確かに大きくなっていますが、元本を下回らないリスクという個人投資家が気になる観点からは長期になればリスクは小さくなっているのです。

● 長期投資は報われるのか?
過去が必ずしも将来に繰り返されるとは限りません。しかし、計算されたデータから学べることはいくつかあります。

10年間の投資を行った場合、タイミングが良ければ492%上昇。でもタイミングを誤ると▲59%になってしまうということ。しかし平均で140%の上昇ですから、長期投資は全体として報われるということが言えると思います。
問題はマイナスになってしまう投資タイミングをどう避けるかです。株式市場が上下動を繰り返しながら長期的に上昇していくものであるとすれば、株価が上昇して市場が過熱している時より、相場が下落して株式投資に悲観的になっているときの方が良い投資タイミングと言えるのではないでしょうか。

日経平均の本日の終値は10,920.63。この水準、長期投資を開始するタイミングとしてどうお考えになりますか。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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