2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
円高が進んでいます。今年135円まで進んだ円安はその後円高に転じ、現在(28日午後4時)1ドル=119円半ばで推移しています。
外貨MMFや外国投信などに投資をしていると評価損益の数字が気になりますね(私もとても気になります)。ポートフォリオ概況のニコちゃんマークが減っていくのは寂しいものです。
しかし、ここで慌てて行動する前に、落ち着いて外貨投資の目的をもう一度確認してどう対応するか冷静に考えましょう。資産設計は長期勝負です。
● 外貨資産を持つ理由
そもそも基本的に毎日の生活を円で行っている我々にとって外貨資産を持つ主な理由は次の2つではないかと考えます。
1.分散投資
2.円安リスクの回避
分散投資とは独立した動きをする資産を組み合わせることによって資産全体のリスクを小さくすること。株式と債券(あるいは預金、投資信託)の資産配分を行うように、国内海外の資産をバランス良く持つことで資産全体の変動を抑えることが可能になります。(具体的な配分方法はマネープランナーを使って調べてみて下さい。)
もう一つは、円安リスクの回避です。円安円高というのはあくまで相対的なものではありますが、円安になったとき外貨資産を持っていないと現在の生活水準が維持できないリスクが発生するのです。
● 外貨投資するのがリスクではなく、しないのがリスク
というのは日本で生活していても、輸入品なしでは生活できないからです。ガソリンやワイン、ブランド品など(それ以外にも様々なものが輸入されています)は円安になると円での価格が上昇します。輸入インフレと呼ばれるものです。外貨を保有しないで円安になった場合、これら輸入品の値段が上がることに対応することができなくなる恐れがあります。(為替レートと実際の価格の変動にはタイムラグがありますが)
つまり外貨投資をすることがリスクなのではなく、しないことがリスクになってしまうのです。
● 円高は外貨投資のチャンス
逆に、外貨の資産全体に占める割合がまだ少ない人にとっては、円高は新たな外貨資産構築のチャンス、です。円が強い時に相対的に有利な為替レートで外貨の比率を上げることができるからです。
自分がどの位の外貨資産を持ったら良いかを知るには、マネープランナーなどを参考にしてみてください。この手の質問には正解があるわけではありませんが、大まかなイメージをつかみましょう。(私の場合資産の26%を外貨に配分という結果になりました。まだ投資していきます。)
資産全体でのバランスを常に考えることが大切です。
● さらに円高になると思ったら・・・
これからもずっと円高になると予想するのであれば、資産を円で保有するべきでしょう。でも、将来の為替レートの予想は果たして可能なのでしょうか。将来の相場の予測に基づいて行動したらどのような結果が待っているのでしょうか。1ドル80円を超える円高になった時は1ドル50円になると予想する経済評論家もいましたね。
不確定なものに対して予想をして投資判断をするより、予想に関係なく長期的な資産設計の見通しに基づいて続けていくべき、というのが私の考えです。円高になっても円安になっても慌てないようにもう一度自分の資産を見直してみることをおすすめします。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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