2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
−−−<まとめ>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
誠実でまっとうな会社を選び投資する方法が注目されている
社会的責任投資(SRI)という考え方である
企業内に問題発生防止の仕組が作ってあるかがまっとうかどうかの判断基準SRIが投資の役に立つかどうかは、どう分析しどう使うかにかかっている−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
会計疑惑や食品の安全性管理などで企業が揺れています。投資家からの不信の結果、株式市場から退場させられてしまう企業が増えています。
成長性が高く、将来性があると市場で評価されていた企業から問題が噴出し、株式市場から退場させられてしまう。これは企業に対する収益面に焦点を当てた今までの評価方法を考え直す時期にきていることを示している、と言えます。儲かるかどうかという財務面だけではなく、倫理的な側面の評価も必要であることを示しています。つまり誠実な経営をする「まっとうな」企業を選択するという考え方です。
では、「誠実」で「まっとうな」会社とはどんな会社で、どのようにして判断できるのでしょうか。
● 大切なのは内部統制システム
どんな会社でも不正や犯罪が発生するリスクを持っています。大切なのは、問題を発生をしにくくする、あるいは発生したとしても初期段階で会社が事実を把握し適切な対応を取れるか、にあります。そのために重要なのは社内の管理システムです。内部統制(インターナル・コントロール)システムといわれる、企業内での組織管理によって、企業が効率良く経営され、牽制機能が働く仕組みを作っているか、ということになります。
● コンプライアンスの本当の意味
企業で不祥事が発生するとコンプライアンス(法令遵守)の強化が必要、という議論になります。しかしコンプライアンスというのは法令を社員に覚えさせ守らせるだけでは実現しません。法令遵守が行われる内部統制システムを作り組織として対応できなければ問題の本質は解決しません。これが誠実な企業として最低限必要な仕組みです。
● 「社会責任投資」
誠実な企業経営が行われている真っ当な企業に投資しよう、という考え方が、「社会責任投資」(Social Responsible
Investment)です。米国では投資金額が日本円で約310兆円と運用資産の12%を占めていると言われています(2001年実績)。
そもそも「社会責任投資」は高いリターンを求めることが第一目的ではありません。しかし、例えばインテグレックスが日本においても倫理的企業トップ100社を選び、投資リターンを計測したところ、時価総額でTOPIX(東証株価指数)の1.75倍になったというデータもあります(1991年から2002年5月までのデータ、大和総研調べ)。
● エコファンドの教訓を活かせ
今後日本でもこのSRIを投資判断基準とした投資信託などが販売されることが予想されます。誠実でまっとうな会社は長期的に高い投資リターンをもたらすという考え方は説得力があります。しかし、誠実でまっとうという基準をどのような調査手法によってスコアリングし投資判断につなげるかについては正解はありません。この手法がきちんと確立されなければ、SRIは机上の空論に終わってしまいます。
また、SRIが運用商品の投資判断基準にどこまで活かされるか、も重要です。投資判断のアドバイスを受けても、実際の投資にしっかり反映しなければ意味がなくなってしまいます。一時期ブームとなったエコファンド(環境にやさしい企業に投資するファンド)も実際の組入れ銘柄を見ると大型成長株中心のファンドと大きな違いは見られません。これでは投資家から「どこがエコなの?」とファンドの意味を問われてしまいます。
「投資を通じてリターンを得ると共に社会に貢献したい」という投資家のニーズは強いと思います。日本の個人投資家が「社会責任投資」を実現でき、投資に値する商品をマネックス証券でも提供していきたいと考えています。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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