ある個人投資家との会話

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

ある個人投資家との会話

投信で運用している友人(Aさん)とこんな会話をしました(ほぼ実話です)。
Aさん:「相場がさえないから、昔買った投信が下がって困っているの。」
私:「買った時から、どの位下がったの?」

Aさん:「それが、計算するのが怖いので正確にしたことないのよ。それに来年引越しするかもしれないので、そのためにお金も必要かもしれないし・・。」
私:「だとしたら、株式投信を少し解約して安全資産に移しておいた方が良いと思うよ」

Aさん:「でも、値段が多分半分以下になって、今売ったら損が出るから売りたくないのよね・・・儲かっている投信があるからそれを先に解約しようかしら。。。」

私:「それは、何かが間違っていますよ。」

Aさん:「えっ??」

さてAさんは2つの過ちを犯してます。それは何かおわかりですか?

● 時価評価をしないと現在の資産配分がどうなっているかわからない

1つめは時価評価をしていないこと。7月26日のこのコーナーで書いた通り、持っている資産を今の値段で評価しその上で配分を見直す「リバランス」を定期的に行うことが重要です。買った値段ではなく今の値段を知ることが必要になるのです。

● 過去の含み損益は将来に関係無い

2つめは解約する商品を決める基準です。
今売ったら損が出る商品と儲けが出る商品、どちらを解約した方が良いのか?結論から言うと、益が出るか損が出るかは関係ありません。損が出る商品を売るのは嫌なものでしょうが、売却しなくても含み損ということで資産の評価は変わりません。損が実現するか、売らないで含み損か、の違いは心理的な違いしかありません。儲かるものばかり解約して気がついたら保有資産はやられているものばかり、ということにならないよう気をつけましょう。これからどういう配分で資産を運用するかを考えて、それに沿った形になるよう取引を行うことが原則です。

値段が下がった自分の資産の計算をするのは確かに怖いことかもしれませんがだからと言ってそのまま放っておくのは将来もっと怖い結果が待っています。お盆休みのこの時期、怪談やキモ試しで涼しい思いをする方もいらっしゃると思います。自分の資産を再評価する時間も取ってみましょう。

−−−<今回のまとめ>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
怖いかもしれないけど自分の資産を時価評価してみよう。
買った時の値段からいくら下がっているかは将来の投資判断には関係無い。時価評価するなら早い方がいい。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
資産設計情報への感想、お待ちしています。
feedback@monex.co.jp  メールの件名「資産設計部」でどうぞ

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧