長期投資に頼らないリターンの追求

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

長期投資に頼らないリターンの追求

ファイナンシャルプランナーの方とお話をする機会が良くあります。回転売買より長期投資でじっくり資産を殖やそう、というマネックスと同じ考え方で個人投資家にアドバイスをしている方がほとんどです。最近の株式市場の低迷で長期投資として株式を長期で保有しても果たして本当に報われるのか、という相談を受けることが多いという話を聞きました。1990年代からの相場低迷が10年以上続き、誰もが持っている不安だと思います。

● これからも長期投資が運用の中心
6月の資産設計への道(21〜22回)で長期投資は報われるのか?を取り上げました。時間はかかるかもしれませんがこれからもインデックスファンドやETFで長期的なリターンを目指すのが運用の中心になることは変わらない、と考えています。

個人的には低コストのインデックスファンドを中心にアクティブファンドや現物株式を組合せた資産を資金計画を考えながら長期で保有、を続けています。ただ、少なくとも短期的には市場全体が下げている時はこのような方法ではリターンを上げにくいのも事実です。

● でも相場の低迷がもうしばらく続くとしたら・・・
市場が明確な方向性を見せない状況においてもリターンを期待できる投資手法としてマネックス証券では「マーケットニュートラル戦略」をご紹介していま。これは将来性があると考える銘柄を購入し、同時に市場全体の変動による影響をベアファンドで回避し、それぞれの銘柄が市場平均を上回るリターンを追求していく手法です。市場の上下に関わらず収益を追求できます。

例えばこんな方法です。
(1)市場の平均より上昇すると思う銘柄を買付ます。例えばA株式会社の株を30万円購入します。
(2)同時にベアファンドを購入してヘッジを行います。マネックスで販売しているブルベアセレクトのベアファンドは日経平均株価の値動きとは逆の方向に、1.5倍の値動きとなる運用成果を目指しているので購入した株式金額の3分の2を買付ることになります。この場合20万円です。
(3)その後、A株式会社の株価が10%下がって27万円になったとしても日経平均が20%値下がりするとベアファンドは26万円になり、全体では3万円の利益となります。(手数料・税金は考慮せず)

マネックス証券のメンバーの方はログイン後、投資信託取引画面から図で説明した詳しい内容をご覧頂けます。

● マーケットニュートラルは銘柄選択が難しい
お客様から頂くメールからも短期的な投資により収益を狙いたいニーズが高まっているのを実感します。さらに相場の低迷が続けばマーケットニュートラルのような投資方法に対する注目が高まることが予想されます。

しかしこのような投資方法は銘柄選択が成否のポイントになります。自分で市場平均を上回る銘柄を選択できなければなりません。市場全体が上昇したのに選択した銘柄が値下がりすると、単純に株式を買った時以上に損失が大きくなります。市場の上下変動のリスクがなくなる代わりに市場平均との差についてのリスクが発生しているわけです。

● 資産設計は10年20年単位 − 慌てずにじっくり継続
様々な運用方法を自分で研究し収益を上げられれば一番ですが、インデックスファンドにアクティブファンド(あるいは自分で銘柄選択)を組み合わせて長期投資、が基本であることを忘れてはいけません。将来のことは誰にも予想できませんが、継続する、分散する、コストを下げる、リスクをコントロールすること、の4つが資産設計の基本です。

今回の話をまとめましょう−−−−−
市場全体が下げている時は短期的にリターンが上がらないのも事実
「マーケットニュートラル戦略」なら相場が低迷していても収益を期待できるインデックスファンドなどを使った長期投資が運用の中心なのは変わらない
では、また来週。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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