2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
先週は持ち家購入にはリスクがあること、また購入のタイミングの判断が難しいことを書いた。リスク回避を考えれば賃貸が有利とすれば「なぜ」家を買う人が増えているのか。持ち家にする人の理由を聞いてみよう。
● 友人のYさんの場合 − 賃貸物件に満足できない
「賃貸だと、なかなか「住みたい」と思う物件がなくてね。特に都心のいいマンションは家賃が割高な感じがするので、思い切って買いました。賃貸って、分譲よりも設備が安っぽいのも今ひとつ。壁が薄くて音が漏れたりね。共用部分、ゴミ置き場や外廊下、エレベータなんかの施設も分譲の方が断然いい。住んでる人の意識が違うから、管理も分譲の方がずっといい。管理組合があるのも安心だし。」
● ファイナンシャルプランナーのYさん − 将来の転売を考えて
「買ったからずっと住むという意識は持っていません。15年くらいして子どもが独立したら売るつもり。だから、値下がりしにくい、転売しやすい物件として中古の一戸建てを選びました。ほとんど土地だけの値段なので、新築マンションに比べると値下がりしにくいと読みました。それに、売るときの値段が買値の半分になっても、値下がり分は15年分の家賃より少ないから、損にはならないかなと。」
● 会社の同期だったNさん夫妻 − 自分のものであることによるメリット「賃貸に住んでいるのと持ち家であるというのはやっぱり精神的何か違うものがある。自分の家に住んでいる、という満足感ですかね。老後に家が無いと何となく不安というのもあるし。それに、自分の家だから、リフォームしたり、壁に釘を打ったりと改造も自由。賃貸は決まった間取りから自分に合ったものを探すことになってしまい、お仕着せな感じがする。」
● 不動産会社の友人がよく見るケース − 物件に惚れてしまった
「たまたまモデルルームを見にきて、つい気に入って衝動買い、あるいは昔から住みたいと思っていたあこがれのエリアの物件を、つい買ってしまった。不動産に衝動買いは禁物だと思うが、こんな経緯で契約するお客さん、意外に多いですよね。」
● クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めるという視点
先週は賃貸、今週は持ち家、とそれぞれの選択の理由を見てきた。
経済的にどちらが「トク」か、ということも大切だが、リスクや将来の不確定要因まで含めて判断するのは難しい。生活の質(クオリティオブライフ)を高めるのはどちらか、という視点で考えてはどうだろう。住宅以外にも生活の満足度を決める要素はある。収入を衣食住、趣味などにどう配分するか、という観点で見直してみると違った見方が出てくるかもしれない。
● 新たな選択肢も増えてきた
定期借地権、も少しずつ増えている。持ち家が「永久の所有権」だとすれば、定期借地権は必要な期間(例えば60年)だけの「利用権」を買うという考え方だ。持ち家のように自由に使え、コストは所有権よりは安い、という方法。ただし契約期間終了後は更地にして返却しなければいけない。マンションもコーポラティブハウスのようなモデルルームなどのコストを下げ、自分好みの仕様にできるような方法も登場している。最新の情報収集も大切だ。
●どんな人生が待っているかまずは想像してみよう
持ち家か賃貸か、を決定するのに一番重要なのはあなたがどんなライフスタイル送りたいかということ。家族と一緒に、あるいは一人で、これからどう生きていくのか、想像してみる。仕事はいつまで、どこに住むのか、老後の予定は・・・ライフスタイルから逆に必要な住まいがイメージできる。
それがはっきりイメージできてからローンや税金、コストやリスク、生活の質といったことを考えて選択するのが合理的ではないだろうか。
個人的には一人で賃貸暮らしを続けているが、ライフスタイルが変われば持ち家も良いな、と思っている。でもこのまま一人暮らしが続けば・・・。
今回の話のまとめ−−−−−
リスクを考えると賃貸の方が柔軟に対応ができる
持ち家にはそれを超える満足感やクオリティといったメリットがある
持ち家と賃貸、これからのライフスタイルが選択の鍵
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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