株式投資 − 4つに整理して考えてみよう

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

株式投資 − 4つに整理して考えてみよう

日本の株式市場は1990年代前半からの長い低迷が続いています。2000年以降、世界的にも株価の低迷が続いています。そんな中、現状の株価に対する見通しも分かれています。

● 株はしばらく上がらないと株式投資を止めてしまう人
● 株は今が割安で買いのチャンスと考える人

また投資方法として、市場全体に投資するのか、個別の銘柄を選んで投資するのか、という分け方もあります。これらの考え方を組み合わせると、

A.市場全体に買い
B.個別企業に買い
C.市場全体に売り
D.個別企業に売り
の4通りの方法が考えられます。それぞれについて整理してみましょう。
● 市場全体を買う(A)− 長期的な相場上昇を予想する人向け
6月14日の<資産設計への道〜その22>でも書きましたが、株式市場が上下動を繰り返しながら長期的に上昇していくものであるとすれば、市場全体を買うのがよいでしょう。しかも相場が下落して投資家が悲観的になっているときこそ良い投資タイミングであることは歴史が証明しています。

株式市場はこれから上昇するのかどうかですが、これは企業・株式市場、もっと大きく言えば資本主義がうまく機能すると思うかどうか、と同じです。技術革新によってこれからも新しい商品・サービスが市場に提供される、と思える人にとっては株式市場全体への投資は魅力的なものでしょう。

商品例:日経225ノーロードオープン、バンガードのインデックスファンド
● 個別銘柄を買う(B)− 成長する企業を発掘できる人向け
市場全体の低迷の中でも、企業価値を上げている株式は存在します。そのような個別の株式を発見し投資すれば、相場全体に関係なく利益を上げられます。
例えば1991年末から2001年末までの10年間、東証一部に上場していた1177銘柄の動きを見ると、上がっている銘柄が全体のわずか12%足らずです。ところが上昇率10位までの株式を見ると平均で4.9倍にもなっています。ヤマダ電機の744%という上昇率を筆頭にローム、オリックス、武田薬品工業、村田製作所、といった銘柄です。(出所:フィデリティ投信)
このような投資対象はどうやったら見つけられるのでしょうか。アナリストの企業訪問や企業分析によって可能なのか、個人投資家が独自の方法で見つけられるものなのでしょうか。個別銘柄投資は誰がどうやって「目利き」をするかが最大の難問です。

商品例:アクティブ型株式投信、現物株式投資

相場の低迷が続いている中、売りから入る取引をしたいというニーズも高まっていると思います。マネックス証券が開催している信用取引勉強会でも売りから入ることができる投資方法として信用取引をやりたいという方が多数いらっしゃいます。

● 市場全体を売る(C)− 株式市場全体に弱気な人向け
(A)の考え方と逆に、株式市場の弱気な見通しから、日経平均などのインデックスを売る(ショートする)方法です。最近では日経平均が1万円に近づくとベアファンド購入が増えたりしています。

商品例:ベアファンド、ETF空売り

● 個別銘柄を売る(D)− ダメだと思う企業を売りたい人向け
割高だと思う株、これから売り込まれると思う株を個別に空売り(ショート)する方法です。最近では情報隠蔽や食品の虚偽表示などの不祥事を起こした企業に対し、個人投資家が空売りするケースが見られます。

商品例:信用取引(売り)

● AからDをどう使いこなす?
個人的には「市場全体を買う長期投資」が個人投資家の運用の中心であると思っています。つまり主役は(A)です。また個別株式の選択によってリターンを上げる方法(B)も魅力的ですが、銘柄選択をどうやって行うかという永遠の課題があります。

売りから入る(C)(D)も短期的な取引としてはあり、と思います。でも、注意しなければならないのは売りから入るのは買いよりもリスクが大きいということです。例えば株価が100円の時、その株式を買ったら、損失は最大100円です(株価が0円の時)。しかし売りから入って価格が上昇した場合、損失は理論的には無限大になります。

「休むも相場」という言葉があります。売りから入る取引はタイミングを見て短期的に。そして買いから入る投資については世界的な分散投資をしっかり行いましょう。海外市場への投資の場合、ドルやユーロといった為替レートが円での資産金額に大きな影響を与えるからです。

今回の話のまとめ−−−−−
個人投資家は「市場全体を買う長期投資」を運用の中心にするのがおすすめ売りから入る取引はリスクが大きいことを認識しておこう
グローバルな視点で分散投資もしっかり実行しよう

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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