金融商品にだまされない方法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

金融商品にだまされない方法

最近銀行の外貨預金でキャンペーンをやっているところが増えています。米ドル定期預金10%という金利に驚いていたら、今度は米ドル12%、ユーロは15%という銀行も登場。これは日本一の高金利(10月16日現在)ということらしいです。預けた方が有利なのでしょうか。

● 本当に有利な商品なのでしょうか
とても有利に見える金融商品の宣伝を見たら、どこかに落とし穴が無いか考えてみましょう。例えば、一見有利な数字だけを全面に出したり、商品を組み合わせで購入すると有利に見えたり、複雑な商品にしてコストがわからないようにする、といった商品が今までもたくさんありました。

このキャンペーンで気をつけなければいけないポイントは高金利が適用されるのが最初の1ヶ月だけということ。12%というのは年換算ですから1ヶ月ではその12分の1が受取金利額になるのです。

金融商品にだまされないためには、実際に手取り金額でリターンを計算してみるのが一番です。

● 実際に計算してみよう
では12%の米ドル外貨預金を例にとって計算をしてみましょう。

300万円を米ドル外貨預金で運用する場合を想定します。為替が124円であったとすると、買付時の為替レートは手数料1円で125円となります。
300万円を125円でドルに替えると
3,000,000÷125円=24,000ドル
となります。これを12%で1ヶ月預けると税引き後利息は
24,000ドル×12%×30日/365日×80%=189.38ドル
手取りは元本と合わせて24,189.38ドルです。為替レートが変わらなかったとすると1ヶ月後に円に替える場合為替レートは124円に手数料1円かかり123円となります(為替手数料は往復で2円ということになります)。
1ヵ月後の受取金額は
24,189.38×123円=2,975,293円
となり、為替が円安に(1円より大きく)ならなければ金利より手数料の方が大きくなってしまうことがわかります。

では1ヶ月だけではなくその後もドルで運用を続けた場合はどうなるでしょうか。1年間の運用を考えてみましょう。12%のキャンペーン金利は初回しか適用されないルールになっていますので2ヶ月目以降は通常金利になります。呈示されている通常金利は1年ものでも0.5%になっています。為替レートが1年後も同じ124円であったとすると、1ヶ月目12%、2ヶ月目以降満期まで0.5%で運用できてもまだ為替手数料の方が税引き後の金利より大きくなってしまいます。

例えばマネックスの米ドルMMFと比較してみましょう。マネックスでは買付時為替手数料無料で解約時は1ドルにつき50銭です。米ドルMMFの分配率は変動しますが、現状1.1%程度です。同じように計算して、結果を比較してみてください。

外貨預金の場合、金利に注目しがちですが、実は為替の手数料がリターンに大きな影響を与えることがわかると思います。

● 商品を正しく選択できるようにするには
12%の外貨預金キャンペーンもよく見ると為替手数料がかかることが記載されています。でも金利が宣伝の前面に出ていて実際のリターンをイメージしにくいと思います。自分で商品を確認する習慣をつけましょう。

金融商品を正しく選択するには、実際に手数料や税金などのコストを計算するのが一番です。そういった検証ができない商品は理解できない商品として手を出さないのが賢明だと思います。そしてリスクに見合ったリターンのある商品か良く考えてから投資判断を行いましょう。

おいしい話!と飛びつく前のちょっとした手間が大きな差になるのです。
今回の話のまとめ−−−−−
外貨運用するときは表面金利にだまされない。期間やコストにも注意!
自分で実際の手取り金額を計算してみよう
理解できない商品には手を出さない勇気も大切

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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