2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
大変お待たせしておりましたが、いよいよマネックスの信用取引がはじまります。明日(11月30日)午後から信用取引のご注文入力が可能になります。(取引は12月2日からとなります)これから信用取引を始めようという方に活用法をもう一度説明しておきましょう。
● 信用取引のリスクが高いといわれる理由
10月4日のこのコラムでも説明しましたが信用取引には2つの大きな特徴があります。売りから入ることができることとレバレッジ機能です。まずはこのレバレッジ機能によるリスクから説明します。
レバレッジによって投資家は自己資金より大きなポジションを取ることができます。少ない資金で大きなポジションを動かせるのは効率的ではありますが、一方でリスクも大きくなります
例えば33%の保証金維持率であれば100万円の資金で300万円の取引ができます。買建ててから株価が半額になれば資産の1.5倍が損失、売建てをして逆に株価が2倍になれば資金の3倍の損になります。儲けも大きいが損も大きくなるのです。
リスクが大きくなると、正常な判断能力を鈍らせ、結果として小さな含み益で利益確定、大きな含み損で損失確定、となりがちです。結果として勝ち負けの勝率が50%であっても、損益はマイナスとなることもありえます。
● 売りから入るのは買いよりリスクが大きいか?
信用のもう一つの機能が売りから入れること、です。例えば割高だと思う株、これから売り込まれると思う株を個別に空売り(ショート)することができま。最近では情報隠蔽や食品の虚偽表示など、不祥事を起こした企業に対し、個人投資家が空売りするケースが見られます。
売りから入って価格が上昇した場合、損失は理論的には無限大になります。一方買いであれば株価がゼロになっても損失の最大金額は購入した金額までです。株価がどちらの方向に行くか確率が50%づつであっても、これも心理的には投資に大きな影響を与えます。
こうした信用取引に特有のリスクへの対策をいくつかご紹介します。
● <対策その1> 休むも相場を実践する
低コストのインデックスファンドを長期にわたり保有することで資産形成を狙う長期投資とは異なり、信用取引は最長でも6ヶ月の期間の中で収益を上げなければいけません。常にポジションを持つのではなく、自分が本当に相場観に確信を持った時に取引を行うのが良いでしょう。わからなければ休むのが信用取引の基本です。
● <対策その2> リターンの目標を決めて投資する
新しい取引を開始する時にその取引でどの程度のリターンを目標とするか決めておきましょう。目標とするリターンが達成できたら一旦利益を確定させます。あまり1つの取引で大きなリターンを追求するのではなく確実に利益を積み重ねる方法で取引しましょう。
損切りのタイミングも重要です。マネックス証券で提供するストップロス注文を活用し、損切りポイントに到達したら一旦ポジションをクローズするのも良いでしょう。弁済期限の6ヶ月後までズルズルとポジションを引きずるのは避けるべきです。
● <対策その3> リスクを軽減する取引方法を使う
単純に信用取引をするだけではなく、現物株式との組合せによって収益を追求する方法もあります。マーケットニュートラル(市場中立)戦略は将来性があると考える銘柄を購入し、同時に市場全体の変動による影響をTOPIXに連動するETF(株式上場投信)の信用売建てで回避し、市場の上下に関わらず収益を追求する方法です。
例えばこんな方法です。
(1)市場の平均より上昇すると思う銘柄を買付ます。
(2)同時に信用取引でTOPIXに連動するETF(銘柄コード1305〜1308)を同金額売り建し、ヘッジを行います。
(3)その後、A株式会社の株価が下がっても市場全体がそれ以上値下がりすると、全体でのリターンはプラスになります。(手数料・税金は考慮せず)
● どうせ開設するなら早めにしよう
リスクをしっかりコントロールできれば、信用取引は資産設計のバリエーションを広げる有益なツールになります。近いうちにマネックスで信用取引をやってみようと思っている人は、どうせなら早めに手続きをしておきましょう。印紙代4000円キャッシュバックは2002年12月中に1回以上の信用取引約定が必要。口座開設手続き期間を考えると急ぐ必要があります。
さらに信用取引口座をお持ちのお客様に限定して「マネックススピードプラス」がご利用いただけます。これはリアルタイムで株価の動きが見られる「マネックススピード」の機能を強化した新しいサービス。信用取引を行うお客様が必要とする情報が見やすく、分かりやすく自動更新で表示されます。
信用取引は切れ味の良い包丁のようなもの。正しい使い方をすれば資産設計を豊かにしてくれることを覚えておきましょう。
今回の話のまとめ−−−−−
信用取引は投資家心理の側面からも現物とは違ったリスクがある
マーケットニュートラルなどリスク対策を工夫しよう
信用取引は正しく使えば資産設計のバリエーションを広げる
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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