個人向け国債、最終チェックポイント

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

個人向け国債、最終チェックポイント

2月3日から募集開始となる「個人向け国債」ですが、1回目の利率も発表され商品概要が固まりました。今回はマネックス証券で実際に購入することを検討している方に最終判断ができるようQ&A形式でまとめてみました。

●手数料はかからないのか?
購入時には販売手数料や税金はかかりません。例えば100万円購入する場合、100万円以外に費用は必要ないということです。

●金利は手取りでいくらもらえるのか?
当初は非課税商品にすることも検討されたようですが、最終的には他の預貯金や債券同様、金利には20%の源泉課税されます。初回金利が0.09%ですから、100万円購入した場合、9月10日に450円がクーポンとして支払われ、手取りは360円になります。

●本当に元本割れの心配がないのか?
財務省が作成した個人向け国債パンフレットによれば、「元本割れの心配がありません」とされています。発行体である日本国政府の信用リスクが顕在化せず、満期まで保有すれば元本は「満期時に必ずお返しします」(財務省)。しかし、中途解約の場合は注意が必要です。

●途中で解約するとどうなるのか?
中途解約は発行から1年経過すれば可能ですが、その場合「直近2回の利子相当額をお支払いいただくことになります」(財務省)。例えば金利が0.09%のまま2回の金利を受け取り、1年後に解約する場合はどうなるでしょうか。
受取金額は税引き後360円x2回=720円。一方で解約のペナルティは450円x2回分=900円。100万円投資して1年後に解約すると利子にかかった20%分はマイナスになってしまいます。中途解約を短期で行うと元本を割れるケースもありうるということです。

●リターンはリスクに見合っているのか?
0.09%という初回金利は果たして高いのか低いのか。マーケットの金利と比較することで判断することができます。スワップマーケットの金利水準から計算すると10年変動金利国債の理論値は0.07%程度になるようです。0.09%という水準は理論値とほぼ同じ水準といえるようです。ただし適用利率は10年固定利付国債の金利−0.80%で計算されます。また適用利率は、0.05%が下限という最低金利が保証されています。

なお、利回りの決定方法は財務省が公表しています。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p150120c.htm

●競合商品は?
為替リスク、株価リスクのない商品としては公社債投信があります。公社債投信も安全性の高い円債券への投資を行うものですがこちらは投資信託ですので元本保証はありません。また信託銀行で販売しているビッグ(2年と5年)も変動金利商品です。マネックスでは販売していませんが、ある信託銀行に問合せたところ、5年もので0.05%の分配率でした。

●買えないこともある?
初回の発行金額は全体で3000億円程度とされています。これを取扱い金融機関に配分することになります

マネックス証券ではWEB上でアンケートを行ってお客様の需要を伺い、募集希望金額を決定する予定です。ただし、大量販売を予定する金融機関が発行金額上限の3000億円の募集希望を出したりすると割当金額が希望より下回ってしまう事態も想定されます。

例えば10社が上限の3000億円で希望を出せば需要が10倍になってしまい、募集希望額の10分の1しか割り当てられないことも予想されます。かと言って、あまり大きな金額を割り当てられ販売できない場合は次回からの割当に影響することもあります。

いずれにしても募集金額が少なければ売り切れてしまい購入できないこともありえることに注意が必要です。

●これからの発行予定は?
2月3日から販売予定の第1回分は3月10日に発行されます。その後は第2回が4月10日、第3回が7月10日、第4回が10月10日・・・というように、1月、4月、7月、10月の各10日前後に発行されていくことになります。年4回の発行。発行金額は今後増加すると思われます。

●買わない方がいいのはどんな場合?
1年以内もしかしたら使うかもしれない資金は解約のペナルティを考えればMRFなどに残した方が有利です。また、金利については当面上昇しないと思っているのであれば固定金利の商品の方が良いでしょう。当り前ですが、リスクをある程度取ってもリターンを求めて投資を行いたい人にも不向きです。そして日本国の信用リスクに懸念を持っている人はそもそも購入しないでしょう。
●個人的には買いますか?
個人的には当面(最低でも2年以上)使う予定のない資金の一部を「変動利付き国債」に振り向けても良いと思っています。年4回の発行ですから、1度にまとめて購入するのではなく、購入時期も分散しての買付です。もちろん外貨や株式などとの分散投資をきちんと考えて資金を配分、です。

今回の話のまとめ−−−−−
個人向け国債はリスク・リターンは見合うが短期で中途解約をすると不利募集枠の問題があるので購入を決めたら販売開始初日に申し込みをしよう買うとしても分散投資の一部として当面使う予定のない資金を配分しよう
ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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