2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
昨年の7月5日のこのコラムで不動産投資に関して取り上げました。今回は具体的に不動産投資を行う対象の選択について考えてみたいと思います。
●投資の目的はキャピタルゲインからインカムゲインへ
証券投資のリターンにはキャピタルゲインとインカムゲインがあります。キャピタルゲインとは価格の値上がり益、インカムゲインとは金利や配当といったリターンを指します。
世界的に株価がさえない動きをしている中、株式の値上がり期待しにくいと判断した投資家の興味は、債券投資などのキャピタルゲイン以外のリターンを目的とする投資に移っています。
●外債ブーム、配当株ブーム
債券投資といっても、国内の金利は10年国債でも1%以下、ということで(名目の数字ではありますが)インカムゲインとしてはあまり魅力のない水準です。その中で外貨建ての債券が投資家を人気集めています。投資信託でも、毎月分配型の投資信託を代表とする外債ファンドのブームは続いています。
また株式投資でも成長株投資によるキャピタルゲイン狙いの投資から、配当利回りに注目したバリュー株式への投資へ投資対象がシフトする現象が見られます。
しかし、外債に関しては米国、欧州ともに金融緩和の方向にあり金利が低下していけば今後発行される、債券はクーポンレートが下がりインカムゲインが小さくなってしまいます。そしてもちろん為替のリスクを持つ投資ですから円高になると元本が減るリスクがあります。
配当株についても高配当率の株式は割安に放置された銘柄が多く、信用リスクなどをきちんと調べて投資を行わないと株価の下落でマイナスになってしまうこともあります。
●J−REITに注目
為替リスクや株価リスクがないインカム型の投資として不動産投資が注目されています。中でも、J−REIT(不動産投資信託)は小口で分散投資ができる流動性のある商品として資産設計に最適な商品と思います。配当利回りは5%程度と高く、20万円〜60万円程度で不動産投資ができるのが魅力です。
J−REITは株式と同様、証券取引所に上場されています。上場されているので売買の流動性が高く、その点ワンルームマンションのような実物投資に比べ優位性があります。
現在東証には6本のJ−REITが上場されていますが、それぞれ投資対象が異なります。通常複数の不動産物件に分散投資が行われていますが、オフィスビル、ショッピングセンター、居住用マンション、ホテルなど対象とする不動産の種類が異なります。
●J−REITの中身
具体的に見てみましょう。日本ビルファンド投資法人(8951)、ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)は主要都市のオフィスビルが投資対象。日本リテールファンド投資法人(8953)はショッピングセンターなどの商業施設を対象にしています。オリックス不動産投資法人(8954)は首都圏のオフィスビル・マンション・ショッピングセンター・ホテルなど物件の種類を分散しています。日本プライムリアルティ投資法人(8955)は主要都市のオフィス・商業施設、そしてプレミア投資法人(8956)はオフィスビル・マンションが投資の対象です。
●選択の基準
さて実際にJ−REITを買おうと思った場合、6本の中からどれを選んだら良いでしょうか。選択の基準としては、最低投資金額、ファンドの価格の推移、組入れた不動産の評価、ディスクローズなどが考えられます。
個人的にもJ−REITを購入したいと考えていますが、次回はどの商品を買ったら良いか、もう少しくわしく考えてみたいと思います。(続く)
今回の話のまとめ−−−−−
インカムゲインを目的とする投資の人気が高まっている。
外債や高配当株が人気であるが、リスクも高いことに注意すべきである。J−REITは流動性のあるインカム型投資として検討できる
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ご意見ご質問はメール件名「資産設計部」でfeedback@monex.co.jp 内藤宛でお送りください。
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。