不動産投資を考える(2)

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

不動産投資を考える(2)

最初に質問です。
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3000万円の持ち家を購入することと60万円のJ−REITを50口購入すること(投資金額3000万円)はどちらがリスクが大きいのでしょうか?===

●不動産投資を資産のどの程度するか
質問の答えの前に不動産投資に自分の資産のどの程度を振り向けるのかを考えましょう。株式、債券、預金などの金融資産との比率で見れば不動産に投資するのは多くても全金融資産の10%程度まででしょう。

例えば金融資産を1000万円持っているとしてもせいぜい1口か2口の購入が限界となります。とすれば、J−REITでの不動産投資を考える場合、投資対象に分散が行われている商品を選択した方が良いと思います。

●分散という観点からの商品選択
J−REITには複数の不動産物件が組入れられていますが、オフィスビルだけよりは商業施設や居住用マンションなど投資対象の種類が分散されていたり、物件の地域が分散されている方が分散効果はあるといえます。自分が投資したい対象(オフィスビルなのか、マンションなのか。都心なのか全国なのか)になるべく近いものを選択することが大切です。

●不動産の種類が限定されているJ−REIT
具体的に見てみましょう。オフィスビルに限定されているのが日本ビルファンド投資法人(8951)、ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)です。また、日本リテールファンド投資法人(8953)はショッピングセンターなどの商業施設だけが投資対象になっています。

日本プライムリアルティ投資法人(8955)は2割弱の商業施設も含まれていますが、大部分はオフィスビルが主体です。また物件の地域が全国に分散しているのが特徴です。

●ホテルが組入れられているJ−REITもある。
オリックス不動産投資法人(8954)にはワシントンホテルに賃貸しているビルが15%程度組入れられています。それ以外はオフィスビル・マンション・ショッピングセンター・ホテルなど物件の種類が分散されています。

●持ち家にしない賃貸派の人が選択するJ−REIT
賃貸派の人が困るのは将来住宅の値段が上がってしまうこと。同じ不動産でもオフィスビルと商業施設、住宅では値段の動きが異なることがありえます。とすればマンションなどの居住用施設の投資比率が高いものを購入しておけば住宅価格が上昇してもファンドの価格上昇で対応できることになります。

6つのJ−REITの中でプレミア投資法人(8956)はオフィスビルとマンションが投資の対象です。全体に占める住居の比率を40%程度まで引き上げる意向があり、6つの中では一番高い比率になりそうです。

●それ以外に考慮すべきこと
投資先の物件のクオリティが高く分散されていることが大切ですが、それ以外にもディスクローズの充実、運用会社のノウハウなども(評価は難しいですが)考慮するポイントです。

●不動産に投資するのか
コラムの最初の質問の答えですが、持ち家もJ−REITもリスクは同じです。(ただしいつでも売れるということと分散されているという点では
J−REITの方が低リスクともいえます)

どちらも定期的に得られる賃料(J−REITなら現在年間5%程度の分配金、持ち家なら家賃を払わなくて良い分)はありますが、不動産の価格変動リスクを受けているからです。

投資の最終判断はもちろん投資家自身ですることになりますが、持ち家であれJ−REITであれ、買うかどうかは購入によって得られるインカムと価格の値下がりリスクとの比較になります。

不動産投資をするという判断になれば自分に合った投資対象の不動産で運用する商品を選択することになります。商品毎の詳しい情報はホームページなどで調べることが可能です。最新の運用状況を確認の上投資の判断を行ってください。

今回の話のまとめ−−−−−
J−REITにも物件の分散に違いがある
自分の取りたいリスクに最も近い商品を選択すべき
インカムと価格変動を合わせた不動産自体に対する相場観が投資判断の原点
ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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