為替の疑問(4)通貨の分散はどうしたらいいのか

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

為替の疑問(4)通貨の分散はどうしたらいいのか

外貨の投資をしている方でも、その大部分はドルへの投資で、ドル以外の通貨に投資している人はあまり多くないようです。今回は外貨投資を考えている人にどのように分散された資産を作るか、を考えます。

● 為替の短期の予測は困難
外貨の運用が難しいのは為替レートの予測が困難であることが最大の要因です。為替を動かす材料はたくさんあり、為替レートの予想は新聞、雑誌などでたくさんの人が発表していますが、継続して予想を的中できる人は少ないようです。
為替を変動させる要因の分析が正確にできても、それが為替レートに与えるインパクトは必ずしも予想できません。世界経済やイラク情勢の正しい情報を得ても為替がどう動くかは正しく予想できないのです。

● 為替レートは短期で予想しない
資産設計の観点からは為替レートは少なくとも短期的な視点からは予想しない方が良いと考えます。為替の予測に基づき投資をして利益を得ようとするより、相場がどちらの方向に行ってもダメージを受けないようなポジションを作ることを考えましょう。

そのためには
・資産全体に占める外貨の比率をコントロールする
・外貨資産の積み上げにドル・コスト平均法を活用する

ことが重要です。

● 最低でも2割は外貨資産を
個人差はありますが、外貨資産は少なくとも資産の20%程度は保有してもよいと思います。リスクが取れる人ならその比率は40%まで引き上げられるでしょう。比率は年齢、ライフスタイル、資産規模、リスクに対する考えかたにもよります。どの位持てば良いかを具体的に考えるなら、例えば今から20%円高になったとしても慌てることがない位の比率が良いでしょう。

何度も繰り返していますが、外貨資産には円安による輸入インフレリスクのヘッジ、金利差による金利収益といった資産設計上のポイントがあり、外貨を持たないリスクをもっと認識すべきです。

● ドル・コスト平均法の出番
ドル・コスト平均法とは定期的に定額を購入していくことで単価の高い時には少なく、単価が低い時には多く買い付ける方法です。為替でいえば、毎月円高なら多く、円安なら少なく購入することができます。

これから外貨の資産を増やそうとする場合、いきなり大きな金額で外貨投資をはじめるのではなく、外貨MMFの月次積立を使って目標の外貨資産比率に近づけていくことをおすすめします。円高のタイミングで外貨投資ができれば一番ですが、その予想ができないのであればドル・コスト平均法が最適だからです。

● ユーロも少しずつ組入れていこう
マネックス証券でも先月からユーロMMFとフィデリティのユーロ株式ファンドを販売開始しましたが、外貨全体の通貨配分をどうしたら良いかというのは難しい問題です。

大まかに言えば外貨全体のうち、ドルとユーロを中心に2:1程度の比率で保有してはどうでしょうか。株式の時価総額、経済規模などから考えてもそれほど大きなズレはないはずです。

● 100万円の資産がある場合
具体的に考えてみましょう。例えば100万円の資産があって30%の30万円を外貨にしたいということであれば、ドル20万円、ユーロ10万円が当面の目標になります。

半年で目標金額を目指すなら、外貨MMFの月次積立を使い
毎月米ドルMMF 4万円
毎月ユーロMMF 2万円
をはじめれば、5ヶ月で目標の30万円に到達します。

● 為替と株はどちらのリスクが大きい?
為替も株式と同様変動性の高いリスクの大きな取引ということができます。しかし為替と株式の大きな違いは、株価は企業価値の反映であり、最悪の場合紙切れになってしまうこともありえますが、為替は2つの通貨の交換比率であるということです。ドル、ユーロといった先進国の主要通貨であれば、円高で例えば外貨の価値が半分になる(1ドル=60円になる)といったことは短期的には考えにくいという違いがあります。

● はじめるなら早く
外貨投資をやろうと決めたらスケジュールを決めて早速はじめてください。少しでも早く自分の理想の外貨保有比率に近づけることができるからです。
またちょっと宣伝になりますが、春のマネックス祭りの「ユーロMMF賞」にもご応募できます。投資のきっかけになれば幸いです。
https://www2.monex.co.jp/j/spring_campaign/top.html

今回の話のまとめ−−−−−
為替レートの短期予想は困難
最低でも20%は外貨を持つ
外貨はドルとユーロを中心に2:1の比率で保有しよう

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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