2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
外貨投資は円高リスクがある、のではなく円安リスクを回避するために必要、と説明してきました。円安になったときの購買力を維持するために資産の一部を外貨で保有すべき、との主張です。簡単に言えば、1ユーロ=140円であったものが1ユーロ=280円になれば10万円のブランド品は20万円になってしまう。これが円安リスクです。
外貨投資の方法の1つとして外債投資はどうでしょうか。マネックス証券で現在募集している、「世界銀行4年債4.05%豪ドル債券」を例に取って考えてみます。
●債券投資の基本 = 信用(クレジット)リスクは取らない
債券は確実に金利を受取ることを目的に投資をする投資です。投資先が破綻してしまえば本来の目的が達成できません。ちょっとした金利差にひかれて信用度の低い企業の債券に投資するのは正しいリスクの取り方と言えるでしょうか。多くの企業の債券に分散できれば別ですが、せいぜい数銘柄の債券を保有するのであれば「債券で信用リスクは取らない」が原則と思います。
●マネックスFXと比較すると・・・
為替リスクという点ではマネックスFXも外債も同じリスクがあります。マネックスFXで豪ドルを保証金5万円で1万豪ドル買うのと世銀の豪ドル債を1万ドル買うのは為替リスクは同じです。ただし為替の手数料が豪ドル債は買付時70銭(償還・利金は50銭)という点が異なります。為替の手数料ではマネックスFXの方が有利ですが、では金利についてはどうでしょうか。
●今後金利が低下するとしたら・・・
将来のオーストラリアの金利がどうなるかはわかりませんが、金利が低下していくと仮定した場合、現状の比較的高い金利で長期間固定してしまうのが賢い方法です。固定金利の外債であれば満期までの受取り金利が確定しています。購入した時点で将来外貨でいくらもらえるかが決まっているのです。マネックスFXは短期金利差で毎日スワップレートが決まりますので、将来オーストラリアと日本の金利差が縮まれば今よりスワップの受取りが減る可能性があります。
外債の投資目的の1つが海外の相対的に高い金利を享受するという点からすると金利動向についてはよく考える必要があります。
●円高になっても・・・
今回の世銀債であれば4.05%の年利が4年間確定します。つまり受取り金利分一定の範囲であれば円高になったとしても円ベースの元本を確保できることになります。実際に税金(利金に20%)、為替手数料も含めて計算してみましょう。
1豪ドル=80円と仮定して、4年後どの程度円高であればクーポンを含めて元本を確保できるか計算してみます。(クーポンは満期まで保有を前提)
1万豪ドル購入とすると為替手数料70銭で807,000円が購入に必要。
利金は4年間で405ドルx4回 20%課税で1,296豪ドルですから合計で11,296豪ドル。
買付為替レートは80.70円(為替手数料70銭)ですから、割り算すると807,000÷11,296=71.45
為替手数料50銭を差し引くことを考えると71.95が損益分岐レートです。
購入時、1豪ドル=80円の場合、満期時に1豪ドル=71.95円まで円高が進んでも、円ベースでの受取額は払込額を上回ります。つまり約10%の円高水準が損益分岐点となります。
●いつ買うのがよいか・・・
今、世銀債に申込んだとしても6月30日午後2時30分の円/豪ドルの実勢為替レート(プラス為替手数料70銭)が買い付け金額になります。とはいっても申込金額に到達したら募集は終了するリスクがあります。申込をして30日の為替レート確定までにキャンセルする方法もあります。
1万豪ドル単位の買付なら、マネックスFXで先に為替を確定しておくという方法もあります。マネックスFXの手数料はかかりますが、保有期間にスワップを稼ぐこともできます。ただ、数週間の為替の動きを見ても賢明な投資判断ができるとは限りません。いつが為替の底値か誰にもわからないからです。
現時点で豪ドルの4年債を募集しようとするとクーポン4%台はもう作れない可能性があります。どうせ豪ドル債を買おうと考えている方はお早めにお申込ください。
今回の話のまとめ−−−−−
外貨投資は円安リスクを回避するために必要
外債は為替手数料はマネックスFXより不利であるが、金利の固定が魅力固定金利なので損益分岐計算で円高抵抗力を計算することができる
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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