個人向け「オルタナティブ・インベストメント」とは?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

個人向け「オルタナティブ・インベストメント」とは?

資産設計の基本になる投資対象は株式や債券、投資信託といった商品です。これらの伝統的な資産に分散投資して価格リスク、金利リスク、為替リスクといったリスクからリターンを追求するのが、資産設計の基本です。

これらの伝統的投資とは異なる新しい投資対象として「オルタナティブ・インベストメント」と言われる投資対象があります。日本語に訳すと「代替投資」です。

例えば、ヘッジファンドやプライベート・エクィティに対する投資がそれにあたります。最近、年金基金が資産の一部をこれらの「オルタナティブ・インベストメント」に振り向けるといった動きが見られます。通常このような投資はプロの機関投資家向けのもので個人投資家は参加することができません。しかしインターネットの普及に伴いネットを使って小口の資金を集めることが可能になり、個人向けならではの商品が出てきました。趣味と実益を兼ねた
「オルタナティブ・インベストメント」です。

● 個人投資家にとっての「オルタナティブ・インベストメント」
以前マネックス証券では「ゲームファンドときめきメモリアル」というゲームの出荷本数に応じて償還金額が決定される投資信託を販売しました。この商品では制作されるゲームの出荷本数が多ければリターンが上がるという仕組みになっていました。

このファンドが普通のファンドと異なるのは自分でゲームソフトの出来がどうなりそうか判断して投資を行うということです。通常のファンドであれば投資対象の選択(目利き)はファンドマネージャーが行います。ゲームファンドでは個人投資家自身が株や債券の銘柄選択をするファンドマネージャー同様、投資判断を行うことになるのです。このような「オルタナティブ・インベストメント」をインターネット上で見つけることができます。

● ワインに投資する
ヴァンネットという会社はワインに投資するファンドを組成しています。(こちらは現在投資組合の募集を行っていませんので、投資をすることはできません。)

ワインという特殊な情報収集と買付・保管などの知識が必要とされる商品が投資対象です。ワインは最初の生産量が決まっており、年代もののワインは消費されて希少性が高まることはあっても増えることはありません。アンティークに投資をするのと同じようなワイン好きにはたまらないファンドです。

http://www.vin-net.co.jp/

● 音楽に投資する
ミュージックセキュリティーズは音楽アーティストと投資家を結ぶ証券化ビジネスを展開しています。音楽の原盤権を証券化しアーティストのファンや個人投資家に販売することで投資の機会を提供しています。

アーティストから見れば、知名度が低くメジャーデビューできなくても、資金調達ができるインフラを得ることになります。

現在募集中のファンドの対象となるアーティストの音をネット上で配信しており、音楽好きの人なら実際に視聴してから投資の判断をすることもできます。
http://www.musicsecurities.com/index_frame.html

● 「オルタナティブ・インベストメント」の利点
「オルタナティブ・インベストメント」はハイリスクではあるものの、投資対象によっては極めて高いリターンが得られる可能性があることが魅力です。株式市場がここ数年さえない動きであったことが新しい投資対象の魅力を増すことになりました。

もう一点は株式や債券などの動きとの相関が低いということです。ゲームの出荷本数やワインの値段、アーティストの音楽CDの売上などは、株価や金利と直接的には相関しません。相関の低い資産を組み合わせることで期待リターンを維持しながらリスクを低下させることができるようになります。

● 「オルタナティブ・インベストメント」で気をつけること
投資対象が偏っているということはリスクが高いということです。ゲームやワイン、音楽といった娯楽性の高いものは愛好家の評価によって人気が大きく変動します。

また、個人向けの商品は匿名組合形式のものが多いようですが、匿名組合の営業者が破綻した場合は、出資金や収益が分配されないリスクがあります。つまり、投資商品の売上以前に営業者の信用リスクが存在するわけです。営業者が信用できるかを判断するのは難しいのが実情です。

投資信託の形式であれば信託財産は信託銀行などに分別管理されており、販売会社や運用会社が破綻した場合でも資産には直接の影響は及びません。ゲームファンドも資産が分別管理された投資信託であり、マネックス証券は今まで匿名組合形式の商品は取り扱っておりません。

● 「オルタナティブ・インベストメント」との付き合い方 
例えばミュージックセキュリティーズの音楽ファンドなら1万円からの投資となります。様々なリスクがあることをリスク情報の開示でしっかりと確認し、納得した上で、分散投資の一部として検討を行うのが良いでしょう。

自分の資産の大半を投資するといったリスクの取り方は行うべきではありません。

(今回ご紹介した商品および会社に関してはマネックス証券が取引を推奨したり、投資の安全性を保証するものではありません。投資に当たってはご自身のご判断で意思決定を行っていただきますようお願いします。)

今回の話のまとめ−−−−−
ネットの普及で個人向け「オルタナティブ・インベストメント」が増えている新しい投資対象として魅力もあるがリスクも大きい
リスクを下げるためには充分な分散を行える金額での投資が必要

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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