人民元が切り上げになったら中国株はどうなる?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

人民元が切り上げになったら中国株はどうなる?

ewoman(イーウーマン)のマネー@で「もっとマネーを知ってみる」というコラムが掲載開始になりました。このコラムで書いているような資産設計に関する情報をコンパクトにまとめてWEB上で掲載しています。
http://www.ewoman.co.jp/money/?gn
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人民元が切り上げになったら中国株はどうなる?

5月30日のマネックスメールで書きましたが、中国株は個別銘柄ではなくファンドで投資をすべき(しかもアクティブファンドで)、と考えています。http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/joho/monex_mail/2003/20030530.html
マネックス証券ではHSBCチャイナオープンの販売を行っていますが、お客様から好評をいただいており、順調に残高が増えています。今回はそんな中国株式についてのトピックスをまとめてみました。

● 海外投資家の動き
中国株式には日本以外の海外投資家からも注目が集まっています。4月には米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が、香港に上場する石油最大手のペトロチャイナの持ち株比率を13.35%にまで引き上げたと報道されました(ペトロチャイナは6月27日時点でHSBCチャイナオープンにも組入れられています)。

また2003年5月以降、海外の投資家にQFII(指定国外機関投資家)が認可され始めています。QFIIとは、外国人投資家として中国A株市場に投資が(制限付きではありますが)認められるステータスです。

スイス銀行が初のQFIIとしての認可を受け、7月9日の午前中に、A株の宝鋼股フェン、外運発展、上港集港、中興通訊の4銘柄に対して、初めて買い注文を出した、と報じられました。

中国に対する海外投資家の注目度が高まり、中国政府による市場の開放が徐々に進んでいると言えます。

●人民元切り上げになったら
7月9日の日経新聞に人民元の切り上げを求める声が日米欧から強まっているとの記事がありました。人民元切り上げになった場合、中国株ファンドの基準価額にはどんな影響が考えられるでしょうか。

一般に株価はその企業の将来受取る収益(の現在価値)によって決定されます。将来の収益が大きくなると期待されれば株価は上昇、逆なら下落することになります。中国株式に投資するという事は、その会社が将来受取る人民元建収益のフローが増加し株価が上昇することを期待している、と言えます。

人民元が円に対して切上げられた場合、中国企業の受取る将来の人民元建収益のフローの円換算価値は上昇します。例えば1元=15円の時に1万元の利益を上げている中国企業は15万円の収益ですが、人民元が切り上がり、1元=30円になれば、収益は同じ1万元でも円貨では30万円になります。
(逆に人民元が切り下げになる場合は、反対の事態になります。)

つまり、円に対して人民元が切上がれば、中国株を保有している円をベースとした投資家にとっての影響は単純に考えればプラスになります。

●人民元切上げの影響
一方で企業経営から見ると、人民元切上げにはプラス、マイナス両面があります。これは円高になった時に日本企業がどんな影響を受けたかを考えれば理解できるでしょう。

輸入企業にとっては、輸入価格が人民元高で下落するためプラスとなります。一方、輸出企業にとっては、輸出製品の売上が人民元ベースで減少するため、短期的にはマイナスの影響を受ける事になります。しかし長期的に見れば、人民元高による輸入価格の下落→国内物価を押し下げ→輸出企業の原材料調達コスト低下、という循環も考えられます。

●リスクの大きな市場
人民元の大幅な切り上げに関しては中国政府が短期的に容認するとは考えにくいというのが専門家の見方です。株価についてもSARS問題が一段落してから急速に上昇をしていますが、変動性の大きな市場であることには変わりありません。つまり、あまり楽天的な材料だけを取り上げ性急な投資を行っても、予想通りの展開になるとは限りません。

HSBCチャイナオープンも今年6月末までの6ヶ月間で23%の上昇、と高いリターンを実現しましたが、基準価額は設定来安値では昨年秋に8000円台前半になったこともあります。投資信託という銘柄を分散させた投資であっても株価、為替による変動が大きい市場なのです。

●投資の原則に戻って
中国では2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博など国際的なイベントが予定されています。短期の値幅取りではなく長期投資として、1万円からできる月次積立を利用し、「時間の分散」によってリスク分散しながら投資を行うことをお勧めしたいと思います。

今回の話のまとめ−−−−−
中国株はファンドで長期投資すべき
中国株式には日本以外の海外投資からも注目が集まっている
人民元切り上げの株価への影響はプラスマイナス両面がある

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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