ギャンブルと投資

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

ギャンブルと投資

宝くじは「億万長者が210人も誕生!!」などと当選金額や当選者数は派手に宣伝されています。期待値やはずれた人の人数のようなリスク情報も知りたい、という人は「夢を売る商品」を買う人たちの中にはいないのでしょうか。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ギャンブルと投資

先週はトレーディングとインベストメントの違いについて書きました。
今回は投資とギャンブルの違いを考えてみたいと思います。

「株式投資とはギャンブルみたいなもの」
と思っている人は多いと思います。まずは2つの質問でどちらを選ぶか考えてください。

<質問1>どちらか1つを選ぶとしたらどちらを選択しますか?
A.確実に100円もらえる
B.50%の確率で200円、50%の確率で0円もらえる

どうでしょうか。Bを選んだ方が多いのではないでしょうか。
ではもう一問似た問題を考えてみてください。

<質問2>どちらか1つを選ぶとしたらどちらを選択しますか?
C.確実に1億円もらえる
D.50%の確率で2億円、50%の確率で0円もらえる

こんどはどうでしょうか。Cを選んだという方が多いと思います。私も
<質問1>はB、<質問2>ではCを選択しました。

●期待値は同じ
期待値(確率的にもらえる予想金額)は最初の質問はどちらも100円、2問目はどちらも1億円ですから同じです。異なるのはリスクの大きさになります。AよりBが、CよりDの方がリスクは大きくなります。

金額が少ないとリスクを取る方を選択し、金額が大きくなると確実な方を選ぶ傾向がある。これはどうしてなのかギャンブルと投資の比較から説明してみましょう。

●ギャンブルの目的
最初の質問はギャンブルについてと考えることができます。自分のほとんどの資産を費やしてギャンブルする人も稀にいるようですが、普通ギャンブルは自分のお小遣いの範囲でやるものです。

ギャンブルの一番の目的はワクワクすること。こう書くと、いや真剣に儲けるためにやっている、という方もいるかもしれませんが、本気で儲けることを考えているなら期待値が低く、ゼロサムゲームのギャンブルより証券投資の方がワリが良いということに気がつくはずです。

競馬などの公営競技の期待値は75%、日本の宝くじなどは期待値が46.4%です(谷岡一郎「ツキの法則」)。株式投資なら手数料が売買代金の0.1%の場合往復での期待値は株価の上昇を考えない場合でも99.8%になります。ギャンブルで儲けるのは確率的に難しいのです。

●投資の目的
一方で投資の目的は正反対です。ワクワクしたくない、ドキドキしたくない。そして着実に資産を殖やしたいというのが投資の目的です。なぜなら投資は自分のほとんどの資産を使って人生を賭けているからです。失敗すれば大変なことになってしまう。

CとDの選択は投資をする場合の心理と考えることができます。利子もつかないたんす預金をしたり、確定利回り商品以外には投資をしない、というのも安心したいという心理からの選択です。
(確定利回りであっても実は安心できないのですが・・。)

●投資のつもりでギャンブルしていませんか?
さて自分の運用をもう一度振り返ってみましょう。投資をしているつもりでいても実はワクワクするために株を買ったりしていませんか。ワクワクするための株式投資は投資ではなくギャンブルです。

私はギャンブルをしませんがギャンブルを否定もしません。自分のお小遣いで好きなCDを買ったり、飲みに行ったりするのと同じようにギャンブルで楽しんで時間を過ごせれば趣味の選択肢の1つだと思います。競馬は馬へのロマン、宝くじは夢を買うもの、という価値観の人にはギャンブルは期待値が低いなどと言っても意味はありません。

ただし、投資のつもりでギャンブルしてしまうこと、これは避けなければいけません。「究極の投資」とは投資しているを忘れてしまうくらい安心感をもってできる投資だと思います。「究極の投資」はギャンブルの対極にあるもの、なのです。

今回の話のまとめ−−−−−
投資とギャンブルはリスクがあるという点では同じ
投資の目的は自分の資産を安心して管理できるようにすること
投資のつもりでギャンブルしていないか考えてみよう

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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