2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
銘柄選択による運用(いわゆるアクティブ運用)はインデックスファンド(パッシブ運用)に勝てるのか、という資産運用業界の長年の議論があります。
この議論の難しいのは、アクティブ運用のリターンが良くても、それが実力によるものなのか、それとも単なる偶然なのか短期的には区別できないということです。ただし偶然による成功は長くは続かないという違いがあります。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
日本株の上昇相場に乗り遅れたと思っている方へ
日本の株式市場の活況が続いています。TOPIXで見ても今年3月の安値から約40%の上昇です。今まで株式投資はしていなかったという方の中からもこれから投資をはじめたい、と考えはじめている人が増えています。
そろそろやらねば、と思い立った時、次に考えるのは、一体どの銘柄を買ったら良いのかということです。
● 市場全体の上昇を予想するならインデックスを買う
何を買ったら良いのかわからないから、投資できない。と言っていても相場は待ってくれません。市場全体が上昇する時にはとにかく参加して(ポジションを持って)いなければその恩恵には預かれないのです。
市場全体が今後上昇する、と予想するのであれば銘柄選択をする前にインデックスを買うのが良いでしょう。インデックスとは日経平均やNYダウのように市場を代表する銘柄の組み合わせによって指数化して市場全体の動きに連動するようにしているものです(実際には連動しない指数もありますが・・・)。
● インデックスへの投資の方法は2つ
昨年の3月29日のこのコラムで取り上げましたが、インデックスに投資をする方法は2つあります(バックナンバーをご覧下さい)。
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/joho/monex_mail/index.html
投資信託を利用する方法とETF(上場投信)を利用する方法です。投資信託ならマネックスでは日経225ノーロードオープンを販売しています。また、ETFも株式取引の画面から株式と同じように売買できます。
ETFは保有期間にかかるコストが安いというメリットがあります。一方で買付時に売買手数料がかかる(株式と同じ手数料です)、最低投資金額が10万円以上と大きい、金額買付ができない、といったデメリットがあります。
ノーロードのインデックスファンドで月次の定額積立を行い、ある程度の残高になったら、ETFにスイッチする方法を提案しています。例えば、月次積立が100万円になったらETFを購入する。このような方法で金額買付によるドル・コスト平均法のメリットを享受しながら手数料を節約することができます。
● 個人投資家の銘柄選択はインデックスに勝てるか
さて、銘柄選択による投資を考える場合、根本的な疑問が浮かんできます。それは「個人投資家が自分で銘柄を選んでインデックスファンドに勝てるのか?」です。マネー誌や証券会社などの推奨を参考にしているのではなくプロのアナリストのように自分でデータを分析して投資判断をして成果を上げられるのでしょうか。
● PER、PBR、配当利回り、株価を使った銘柄選択
本日夕方に開催されるマネックス証券の銘柄選択勉強会ではエンハンスト・インデックスによる運用で定評のあるオリックス投信投資顧問の協力により、PER、PBR、配当利回り、株価といったデータを加工し銘柄選択を行う方法について説明を行います。
公開されている企業の財務データ、株価の変化率による乖離度合いなどの数字を規準化してスコアリングし銘柄を選ぶ。その中から、債務超過、株価が極端に低い、といったリスク銘柄を除去して銘柄選択を行った結果、過去のデータからは良好な結果が得られました。
バックテストによる日経225銘柄からの銘柄選択では
2002年3月、2002年9月、2003年3月から直近(2003年8月)までの銘柄選択による上位10銘柄の単純平均上昇率はそれぞれ+25.7%、+32.9%、+35.2%、となりました。これは同期間の日経225銘柄の上昇率を+5%〜+30%程度それぞれ上回るリターンになります。
過去が将来を証明するとは限りませんが、日本の株式市場における銘柄選択による超過リターンを得る可能性を示していると思います。このような個人が自分で銘柄を選択する手法については読者の方のご要望があれば本コラムでも取り上げてみたいと考えています。
● 慌てず「2つの分散投資」ではじめよう
インデックス投資であれ個別銘柄の投資であれ、投資タイミングや相場の方向性を予想するのは難しいものです。株価の上昇に慌てて資金を投入したら高値つかみになってしまった、というのでは仕方ありません。
投資のタイミングを冷静に判断すること(わからなければ時間分散すること)、そして投資対象の分散(インデックスなら投資対象自体が分散されています)、という「2つの分散投資」によって堅実に投資を始めることをお勧めいたします。
今回の話のまとめ−−−−−
株式市場全体の上昇を予想するなら、インデックスを買うという投資法があるインデックスファンドとETFを投資金額と保有期間によって使い分ける時間と投資対象の「2つの分散投資」を心がけよう
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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