2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
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個人投資家に銘柄選択は可能か(2)
先週取り上げた銘柄選択の手法は文章だけで説明するにはちょっと難しかったようです。先月開催した銘柄選択勉強会の会場でのアンケートでも講義のレベルがやや高いと回答された方がいらっしゃいました。
バリュー銘柄を見つける銘柄選択投資について簡単にもう一度まとめると、勉強会で説明した銘柄選択手法は
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PER(さらにその他の収益指標)、PBR、配当利回り、株価上昇率などのデータを平均と標準偏差を使って規準化、パラメーター調整によってウエイト付けをして、数値化する。最後に倒産確率の高いと判断する銘柄を取り除いて、投資銘柄を決定。
データ取得→規準化→パラメーター設定→総合得点算出→リスク銘柄除去
===
という方法です。
● 2003年3末の抽出銘柄ではどうか?
上記手法に基づき実際に日経225銘柄の中から銘柄抽出を行い、上位10銘柄に投資をしたらどうなっていたかを見てみます。オリックス投信投資顧問の分析によれば次のような結果になりました。
2536メルシャン +16.9%
3110日東紡 +47.4%
4041日本曹 +31.9%
5101浜ゴム + 4.3%
6501日立 +54.0%
6504富士電機 +27.5%
7003三井造船 +60.6%
7012川崎重工 +49.5%
7270富士重工 +31.9%
9432NTT +27.5%
(2003年3月末から8月末までの騰落率)
10銘柄単純平均でのリターンは+35.2%となります。
同時期に日経平均は29.7%の上昇になっていますからインデックスに投資してもかなりのリターンですが、個別の銘柄を見ると更に大きなリターンが実現したものがあることがわかります。これだけではまだ有効性は検証できたとは言えませんが。
● 銘柄選択投資をすべきなのか?
個人投資家は銘柄選択などを行うべきではない、という意見があります。市場全体に投資するインデックスファンドの方が市場の効率性やコストを考えると良い結果をもたらすという意見です。
たとえ株式市場には情報がきちんと株価に反映していない「非効率性」があるとしても銘柄選択をすべき、という意見にはなりません。自分がインデックスを上回ることのできる「勝ち組」になるためには、他の市場参加者よりも優れた分析ができなければならないから、です。
では優れた分析ができるようになるにはどうしたら良いのでしょうか。
● 個人投資家は銘柄選択をどうやって行うべきか
皆さんが株を買おう、と思った時、どうやって銘柄を決めるのか考えてみましょう。選択する基準は何でしょうか。
例えば
マネー誌や新聞などを見て有望そうな銘柄を選ぶ
自分が知っている会社、好きな会社の株を買う
誰かにすすめられて買ってみる
といった、判断材料に基づいて投資を行っていると、投資に関してのスキルはいつまでたっても上げることができません。儲かっても、損をしても、その理由を知ることができないから、です。
● 透明性のある分析
銘柄選択手法に数学的な回答がない、とすれば試行錯誤を繰り返しながら学ぶという方法しかありません。今回説明しているような計量的な銘柄選択手法が絶対正しい、とは言えませんが、少なくとも上手くいった場合、失敗した場合、その原因を考えることが可能な方法です。
分析のプロセスを見るとわかりますが、パラメーターの設定に主観性が入りますが、それ以外は公開されたデータの加工を行うものであり、データが同じであれば結果も同じになります。
ロジックとプロセスがはっきりした手法であれば、仮説と検証を行い、分析の精度を上げていくことが可能になります。つまる儲かった理由、損をした理由を検証してそれを今後の投資に反映させられる、ということです。
● 個人投資家の銘柄選択は可能か?
株価は理論的には将来の企業利益の現在価値によって決定されるというのが教科書的な理論ですが、実際にはノイズによって株価影響を受けます。
銘柄選択勉強会で使った手法は1つの例に過ぎません。マネックス証券の画面から情報を収集し、自分でデータを分析して銘柄を選ぶことは手間がかかるかもしれませんが可能です。自分なりのロジックとプロセスを作り銘柄選択をすることは可能です。どの指標をどのように、組み合わせれば上手くできるのかを知るのは容易なことではありませんが。
はっきりしていることは、銘柄選択を自分でやって市場を上回るリターンを実現するためには、自分で考え、努力することが必要だということです。楽してお金を儲けることは投資の世界でもあり得ないということです。
(今日の内容も難しかったらすいません。)
今回の話のまとめ−−−−−
個人投資家は銘柄選択投資をすべきではないという意見もある
銘柄選択を自分で行うならロジックとプロセスを明確にすべき
仮説と検証を行い、改善を行うことで銘柄選択手法はスキルアップできる
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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