秋の夜長に読む7冊の本

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

秋の夜長に読む7冊の本

秋の夜長に投資の本でも読んでみようかな、という方のために今回は7冊の書籍をご紹介します。投資の本はたくさん読んできましたが、残念ながらなかなか良い本に出会うことができませんでした。そんな中で好き嫌いはあるかもしれませんが、数少ない良書と思える書籍をピックアップしてみました。

●「投資戦略の発想法」木村剛 講談社
個人投資家が最低限考えておくべき投資戦略についてまんべんなく書かれた本。投資をはじめたばかりの人、はじめたけどよくわからない人の入門書として最適。最初にまず一冊読むならこの本をおすすめしたいと思います。巻末で紹介している参考図書と説明も役に立つ。

●「敗者のゲーム」 チャールズ・エリス 日本経済新聞社
マーケット全体にい投資をするインデックス運用と個別の銘柄を選択して投資をするアクティブ運用はどちらが正しいのか。この疑問は資産設計情報でも何度か取り上げました。結論から言うと、両方に分散して投資すべき、です。この本はインデックス運用派であるが、アクティブ運用を行う場合にも参考になることが書いてある。「資産設計の古典」ともいえる名著。

●「金融工学、こんなに面白い」 野口悠紀雄 文春新書
金融理論とデリバティブという膨大で難解な内容を200ページの新書にまとめ上げてあるので満員電車の通勤中でも投資を学べる。資産設計の観点からは4章までの100ページを読みましょう。唯一の疑問は「こんなに面白い」と著者が思うほど読者が面白がっているかどうか。学者はジョークも難解である。
●「リスク」 ピーター・バーンスタイン 日本経済新聞社
投資にとって重要なのはリスクとリターンの関係を理解すること。しかし投資家の話はいつも「いくら儲かったか損をしたか」である。リターンよりリスクに対してもっと注意を払うべきだろう。そんな「リスク」の歴史を網羅した知的好奇心を満足させる大作。長期休暇など時間のある時にゆっくり読むのをおすすめ。

●「ゴミ投資家のための人生設計入門」オルタブックス 海外投資を楽しむ会資産設計的観点から不動産、保険、ライフプランを取り上げている。ゴミ投資家シリーズの中では一番参考になった本。不動産の購入を考えている人は「持ち家と賃貸はどっちが得?」だけでも読んでみては(購入してしまった人は読まない方が良いかもしれない)。

●「ツキの法則」谷岡一郎 PHP新書
ギャンブルを大負けすることなく楽しむ方法論、が本書の目的である。ということで一見投資には関係ないように思えるが、実は投資に関しての示唆に富んでいる。大学の学長でもある著者はギャンブルのメカニズムを科学的に解き明かしているが、投資にも参考にできる指摘が多い。

●「株価が読めるチャート分析入門」 林康史
「チャーチストに金持ちはいない」という言葉を誰かに教えてもらってから、テクニカル分析には何となくネガティブなイメージを持っている。しかしテクニカル分析にはピンからキリまである。怪しい図形を振り回しているだけの役に立たないテクニカル手法を排除すればテクニカル分析を投資に活用する道が見えてくる。そんなテクニカル分析を簡単に短時間で網羅的に理解したい人に最適な入門本。

林さんの著書では他に「マネーの心理学」(三笠書房)も面白い本。今話題のノーベル経済学者ダニエル・カーネマンのプロスペクト理論や認知的不協和といった投資を行う際に重要な投資の心理について網羅的にやさしく解説されている。

●こんな本は買ってはいけない
書店の投資本コーナーに行くと選ぶのに苦労するくらい大量の本が売られていますが、そのほとんどは残念ながら役に立たない、あるいはむしろ投資の妨げになる「有害図書」です。

「絶対儲かる」「短期間で2倍に資産を殖やす」といったタイトルの本を買うのは止めましょう。投資に「絶対」は無いし、短期で高いリターンを目指す人には「リスク」の視点が欠落しているからです。

投資には勉強が絶対に必要です。自分に合った正しい本を選んで効率的に知識を身に付けましょう。

今回の話のまとめ---------
投資の良書は少ない
自分に合った良書を選んで読んでみよう
投資には勉強が絶対に必要だ

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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