自分でやる、人にやらせる、市場に合わせる

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

自分でやる、人にやらせる、市場に合わせる

株式投資を始めるにあたって最初に決めておかなければいけないのは、インデックス運用とアクティブ運用、をどう使い分けるかです。インデックス運用とは市場平均に連動させる運用、アクティブ運用とは市場平均を上回ることを目標にする運用。2つの運用には大きな違いがあります。

●アクティブ運用の勝者と敗者の違い
話を簡単にするために、世の中にAさんBさんの2人の投資家しかいないと仮定して考えてみましょう。

例えばAさんは30%で運用、Bさんが20%で運用したとします。この場合市場平均(インデックス)は25%になります。Aさん>インデックス>Bさん、の順になります。

今度はAさんが10%の運用だった場合どうでしょうか。インデックスは15%になりますから、Bさん>インデックス>Aさん、になります。

ここから次のことがわかります。
「Aさんがインデックスを上回る運用実績を上げるためには、自分より運用実績の低いBさんが存在することが前提になる。」

●カモにする方、される方?
中国株の個別の銘柄に投資をしたいという人が最近多いようです。でも考えて見てください。あなたはAさんになれるでしょうか?

現地のニュースを見ても理解できない、中国語で情報収集することもできない人が中国の現地投資家に勝てるのでしょうか。投資をしてから何か悪い材料が発表された時、それを瞬時に知ることができるでしょうか。

市場が効率化しておらず、銘柄選択から大きなリターンを得るチャンスがあるとしても、自分がカモになっては仕方ありません。冷静に考えれば、能力のあるAさんを探してきて手数料を払って頼むのが一番合理的です。

例えば中国株であればHSBCチャイナオープンのような投資信託を活用するのが賢明であるということです(HSBCがAさんであることが前提ですが)。
●カモにする側になれたとしても・・・
今度は例えばAさんが11%の運用でBさんが9%の運用だったとします。この場合、インデックスは10%になります。

Aさんはインデックスより1%高いリターンを得られますが、これではアクティブ運用をする価値があるか疑問です。アクティブ運用で銘柄選択をするには費用と手間がかかります。アクティブファンドを買っても手数料などのコストがかかります。それらを考えるとインデックス運用をした方が良いという判断があるからです。

●効率的な市場、非効率な市場
公開されている企業情報、例えばPER、PBR、配当利回りといったデータを分析して市場の平均より高いリターン(超過収益)を上げられるということは、公開されているデータが株価に正確に反映されていないからだからです。このような歪みが存在することを「非効率である」と言います。

逆に公開されている企業データから超過収益が得にくいマーケットは「効率的」であると言います。

多かれ少なかれ株式市場は非効率なものです。つまりアクティブ運用によってインデックスを上回る運用ができる可能性があるということです。ただし、効率性が高まれば高まるほど、アクティブ運用の価値は薄らいでいきます。
効率性の高い市場、例えば米国の株式市場でアクティブ運用で得られる超過リターンはあまり大きくないでしょう。一方情報の非効率性が存在すると思われる中国市場などでは期待できる超過リターンは大きくなります(失敗した時のマイナスも大きいということです)。

●2つの質問で3つの選択
投資を始める前に2つのことを考えてみましょう。
Q1.投資する市場は効率的、それとも非効率?
Q2.非効率性の高い市場として、あなたはカモにする方、される方?

市場は効率的ならばインデックスファンドやETFでコストを下げるのが合理的判断です。カモにできるなら自分で銘柄選択、カモにされると思うなら信用できるアクィブファンドを活用する。

投資には自分でやる、人にやらせる、市場に合わせる。3つの方法があるのです。

今回の話のまとめ---------
効率性の高い市場ならインデックスファンド
非効率な市場で他の人をカモにできるなら自分で運用
非効率な市場で他の人にカモにされそうならファンドでプロに運用を依頼
ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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