金融専門用語にだまされるな

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

金融専門用語にだまされるな

どの業界にも専門用語をいうものがあります。お寿司屋さんの業界用語と同じように金融業界の専門用語も理解しにくいものです。さらに厄介なのはカタカナ外国語(外来語)も多用されていることです。

外来語については国立国語研究所が以前言い換え提案というのを出しましたが和訳すると逆にわかりにくかったりします。
http://www.kokken.go.jp/public/gairaigo/Teian2/iikaego.html

●金融の世界の「通」な人たち
数年前に転職して投資顧問会社で年金運用の仕事をはじめた時、このカタカナ専門用語に戸惑いました。ベンチマーク、アウトパフォーム、ユニバース、インデックス、グロース、バリュー・・・とカタカナだらけでした。

でもしばらくして内容がわかってくると、アウトパフォームとは要するに他より運用成績が良いこと、ユニバースとは簡単に言えば投資する範囲のこと、ともっと簡単にわかりやすく説明することができることに気がつきました。実は簡単なことを難しい用語を使っているので新参者にはわかりにくくなっていいただけの話なのです。

●資産設計はそんなに難しいものではない
個人投資家が投資に必要な知識も勉強すれば誰にでも理解できるものです。難しいものであれば一部の人にしか理解できず、投資が一部の選ばれた人しかできないものになってしまいます。誰でも正確な知識を得れば理解できるものなのにわかりにくいと思う人が多い理由の1つは、このような専門用語にあると思っています。

●専門用語でごまかす人たちには要注意
ではナゼわかりにくい、難しい専門用語を使ってしまうのでしょうか。それは簡単なことを難しく話したがる人がいるからです。どこの世界にも専門用語で本質をごまかそうとする人たちが存在します。専門家と言われるプロの中にもそんな人がいるから困ったものです。専門用語を使って難しく話す理由は2つ考えられます。

1つは本当は理解していない。つまり自分がわかっていないので難しい言葉で素人を誤魔化そうとしている場合です。もう1つは権威付けのため、です。易しく話してしまうと自分の話に専門家としての価値がなくなるような気がして格好をつけてしまう場合です。どちらも迷惑な話です。

本当のプロは難しいことを易しく話せる人だと思います。金融用語や専門用語で何を言っているのかわからない場合、聴いている自分の理解力に問題があるのか、と思ってしまいがちです。しかし、誰にでもわかるように説明できない話し手に問題があるのではないか、と疑ってみましょう。自分にはレベルが高い、などと諦めてはいけません。

●知らぬは一生の「損」
金融専門用語を理解するには自分の言葉で「要するにこういうこと」と大ざっぱにわかればよいのです。最初から細かいことにこだわる必要はありません。そして理解できた、と思ったら今度は周りの人に自分の言葉で説明してみましょう。相手にわかりやすく納得してもらえれば、自分も理解できていると確認できます。

「知るは一時の恥、知らぬは一生の恥」と言われますが、資産設計では知らぬは一生の「損」です。わからない商品には近づかない、という消極的な姿勢ではせっかくのチャンスを逃してしまいます。また知っている商品だけでは運用対象が偏ってしまい分散投資ができなくなるリスクも出てきます。

●実際の商品ではじめてみる
信用取引、貸株、マネックスFX、IPO・・・自分がはじめてみたいと思っていてもよくわからないから、という理由で敬遠していた商品でまずは専門用語を理解してみましょう。

例えば最近話題のIPO(新規公開)株も一部の人だけにしかわからない高度な取引に見えますが、「ブックビルディング」「IPO」といったカタカナ専門用語がわかれば、ずいぶん簡単な商品に見えてくるはずです。
ちなみにIPO(新規公開)株の概要はここで見ることができます。
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/kabushiki/ipo/index.html

●「資産設計への道」はどうでしょうか?
「資産設計への道」も専門用語でごまかすことの無いよう、わかりやすく、読みやすい表現で説明しているつもりです。それでも後から読み直してみるともっとわかりやすい説明があった、と反省することがあります。「簡単なことを難しく説明する」コーナーにだけはならないよう気をつけたいと思っています。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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