2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
日本の低金利は続いています。普通預金の金利が0.001%なら100万円を預けて1年間にもらえるのは10円(しかも税引前)です。こうなると運用するというよりお金を預かってもらっている金庫のようなものです。
そんな中、投資金額500万円で「毎月」15万円の手取り収入を得ている人がいます。このまま続けば3年弱で元本が回収されることになります。単純に利回り換算すると30%以上です。
またマネックスFXで最低保証金の10万円でドルを買い、1年間保有すると現在のスワップポイント1日31円が変わらず、為替レートも同じ水準と仮定すれば年間の資本元本10万円に対する利回りは11.3%になります(為替の手数料・税金等は考慮せず)。
うまい話にはだまされるな、と言いますが、こんな高いリターンはどう考えたらいいのでしょうか。投資の理論ではリターンが高いものはリスクも高い(リスクが高くてもリターンは高く無いのですがこれはまた別の機会に取り上げます)というのが定説です。一見魅力的なリターンの裏にはどんなリスクがあるのでしょうか。
●月額「15万円」のカラクリ
15万円の手取りを稼ぐ彼がやっているのはマンションの賃貸です。新築のマンションを購入したものの、勤務地が変わってしまい通勤に不便になったためやむを得ず賃貸しているということです。
物件は神奈川にある3000万円弱の新築マンションで、駐車場も含めて合計で毎月25万円の賃貸収入を得ているそうです。ローンの返済や固定資産税、マンションの管理費などを差し引いても毎月手元に15万円が残ります。
マンション購入のために支払った約400万円の頭金は、このまま毎月15万円の収入が続けば2年少しで回収できる計算になります。その後はローンなどの毎月の支払いが家賃収入を超えなければ良いと考えているようです。
●マネックスFXのカラクリ
マネックスFXは為替の保証金取引です。8つの通貨の組み合わせから選べる商品ですが例えばドルで考えた場合、最低保証金の10万円で1万ドル
(約110万円)のポジション(リスク)を取ることができます。少ない資金で手持ち資金の10倍以上の外貨のポジションを取ることができる商品です。
売りからも買いからも取引できる機動性のある商品ですが、買いポジションを保有すると金利差の相当分がスワップポイントとして毎日受取れることになります(現在のように海外の金利が国内より高い場合に限られますが)。
●レバレッジ効果
少額の投資資金で、大きなリターンが期待できることを、レバレッジ(てこ)効果といいます。
レバレッジ取引の代表が株式の信用取引です。保有資金以上の株式を買ったり、
売ったりすることで収益を目指す取引です。資金を借りることでレバレッジ効果を利用できるのです。
最初の例の不動産の賃貸やマネックスFXもこのレバレッジ効果を利用している商品です。レバレッジを使った取引は資金を効率的に活用できるという利点がある反面、リスクが大きくなります。
マネックスFXを例に取ると、10万円の保証金で1万ドルの買いポジションを作るとスワップポイントは年間換算で10%以上になりますが、一方で為替が1円円高になると1万円の損が発生することになります。これはかなり大きなリスクです。
このように信用取引や為替保証金取引は何だかリスクが高そう、と敬遠している人は多いと思います。その一方で気がつかないうちに無意識にやっているレバレッジ取引もあります。その話は次回続けます。
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
※マネックスFXは、外国為替保証金取引です。外国為替相場や金利動向によって、利益を得られることもありますが、損失を被る場合もあります。預託された保証金の元本は保証されません。また投資者保護基金による補償対象とはならず、証券取引法等で定められている分別保管の対象ではありません。
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