2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
サボテンは、乾燥した気候を好む植物です。水をやりすぎると逆に腐ってしまいます。だからどちらかというとナマケモノのほうが上手に育てることが出来る植物です。年に数回水をやるだけで育ちます。
銀行、投資顧問そしてネット証券と金融の仕事を20年近くしてきて思うことは、どんなに資産設計の重要性を説いても「面倒くさい」とか「よくわからない」といった理由ではじめるきっかけがない、という人が多いことです。
そもそも資産運用や株式市場に興味の無いわけですからもしかしたらこのマネックスメールも読んでいないのかもしれません。と言っても苦手だから、興味がない、リスクがあるからといった理由ですべての資産を預貯金に入れておいては元本は減らないでしょうが殖えることもありません。
そこで資産の管理なんて面倒くさい、という不精な方のためにサボテンを育てるように手間をかけないで資産設計する方法を考えてみました。
名付けて「サボテン投資法(仮称)」です。
●資産を殖やすには手をかけすぎてはいけない
売買を繰り返して投資に成功している人もいますが、一方でそのようなトレーディングをやればやるほど資産が減ってしまう人もいます。売買には手数料というコストがかかります。コストを上回るリターンが無ければ、売買をすればするほどマイナスになってしまいます。手をかけない方がうまくいく場合もあるのです。
そこで取引の頻度を下げて、資産をさまざまな投資対象に「配分する」という視点から資産運用を考えるのが「サボテン投資法」のミソです。
●アセット・アロケーションが一番重要
資産を「配分する」ことを英語でアセット・アロケーションと言います。米国でのバンガード社による調査では、1962年から2001年の少なくとも5年以上のリターン実績を持つ、420のアクティブ運用のバランス型ファンドを調べたら意外な結果が出ました。
それはアセット・アロケーション方針の違いが月次リターン差異の77%を説明する、というものです。つまりどの株を買うか、どのタイミングで売買するか、より全体の資産をどう配分するかの方が圧倒的に重要だということです。http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/003891.html
つまり投資をしている人が大騒ぎしているどの会社の株を買うか、という銘柄選択はリターンの20%の中での話にすぎないということです。となれば時間をかけずに運用をする必要がある人がどこに時間を割くべきかは明らかでしょう。
●「サボテン投資法」− やることはこれだけ
年に4回1時間づつ時間をかけるだけなら1年で4時間。これならまずはじめるには負担にならないと思います。基本のアセット・アロケーションを決定するのがキモであり少し大変ですがあとは大した手間ではありません。
1.基本のアセットアロケーションを決める
2.資産を決めた方針に沿って投資する
3.資産が増減する
4.3ヶ月に1回見直す
5.長期で継続する
これを何年も繰り返していきます。
●例えば100万円持っていたら
例えば資産配分をこのように決めたとします。
日本株 35%
日本債券 15%
外国株 25%
外国債券 15%
その他 10%
投資する資産が100万円なら日本株に35万円、日本債券に15万円というように機械的に投資していきます。あとはそのまま資産が勝手に殖えるのを期待してじっと待ちます。アセット・アロケーションを決めたら、毎日相場を見ている必要はありません。
●基本のアセットアロケーションは3ヶ月に1度見直すだけ
3ヶ月たったら、資産を見直します。最初の配分比率に比べ値上がりしたものは比率が高まり、値下がりしたものは比率が下がっています。同じ配分比率を維持するのであれば上がったものを売り、下がったものを買う調整をしていくことになります。
さてこのような投資法で「サボテン」はどの位大きくなっていくのでしょうか。次回もう少し具体的な話を進めてみたいと思います。
今回の話のまとめ---------
投資をしたことが無い人もまずはじめればわかることがある
アセット・アロケーションが一番重要
「サボテン投資法」というネーミングで投資をはじめてもらえるかは不明
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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