2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
どうやら「サボテン投資法」というネーミングは評判が良くないようです。ネーミングはともかく、基本のアセット・アロケーション(資産配分)を決めて年に数回見直していくという資産設計方法についてもう少し具体的に話を進めていきたいと思います。
前回のコラムはこちら
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004798.html
●「サボテン投資法」− やることはこれだけ
例えば資産配分をこのように決めたとします。
日本株 35%
日本債券 15%
外国株 25%
外国債券 15%
その他 10%
最初に資産をこのように配分したら、後は定期的に見直しをします。値上がりをすれば比率が高まり、値下がりをすれば比率が低くなります。そこで値上がりしたものを売り、値下がりしたものを買う。これを繰り返します。
●過去のデータで検証してみる
過去のデータは将来を保証するものではありませんが、参考にはなります。投信会社の方にご協力いただき、1985年1月から昨年末までの19年間のデータを元にスプレッドシートで計算してみました。
配分比率は固定して、日本株、日本債券、外国株、外国債券、その他として短期金利、それぞれの市場の指標となるデータ(例えば日本株ならTOPIX)のリターンを使って計算しました。また3ヶ月毎に資産の見直しを行うものの、頻繁な調整は行わず、年1回年末に比率を元に戻すという前提にしました。
取引コストや税金、タイミングや個別銘柄といったことは考慮されていませんが、長期で資産配分に重点を置いた「サボテン投資法」がどのような成果になるか見てください。
●インデックス(市場平均)を使って計算した過去の実績
1994年から2003年までの10年で見ると、日本株だけの運用と最初に書いた資産配分で運用した場合の上昇率はこうなります。
日本株だけで運用 ▲27.4%
資産配分を変えないで運用 +36.4%
資産配分を年1回調整して運用 +39.6%
同じ計算方法で今度はバブルの前からの19年間で計算するとこうなります。日本株だけで運用 +14.2%
資産配分を変えないで運用 +103.1%
資産配分を年1回調整して運用 +131.3%
●日本株の不幸な過去は後からしかわからない
1985年からの指標の上昇率を見ると日本債券、外国株、外国債券それぞれ160%前後の上昇になっています。過去10年で見てもやはり日本株以外のリターンはすべてプラスになっています。それぞれのインデックスに投資することは実際には困難ですが、資産配分を日本株以外にしておけば、プラスのリターンが期待できたということはできると思います。
これは1990年以降の日本株の低迷からすれば当たり前のことですが、10年前、19年前にそれを予想できた人はどの位いたでしょうか。
●リバランスの効用
もう一つ注目すべきなのは資産配分の調整(リバランス)による効用です。リバランスによって上がったものを売り、下がったものを買う調整はリターンの向上に効果があるという結果になりました。ただしリバランスを頻繁にやり過ぎるとせっかくの上昇機会を逃してしまうことになります。計算では年1回でやってみましたがこれをどの程度やるのが良いのかには正解はありません。
●将来はわからない、だから分散する
いずれにせよ、将来どの資産が一番値上がりするのかわからないのであれば分散して投資するのが重要です。しかも年に数回チェックするだけのこの方法なら投資が苦手な方でも苦にならない程度の負担です。分散することにより投資で失敗するリスクも軽減できることになります。
最初の資産配分をどうやって決めるのか、実際にどの商品で運用するのか、など考えなければならないことはあります。しかし、預金だけしか資産を持っていない人が投資をはじめようという最初の一歩にはなるのではないでしょうか。
この講座でもそんな方法をさらに考えていきたいと思っています。
http://www.ewoman.co.jp/univ/04/sekkeijyuku.html
今回の話のまとめ---------
「サボテン投資法」は長期の運用に使える1つの選択肢になる
配分比率、リバランスのタイミングや頻度については結論が見つからない将来がわからないのであれば可能性のあるものに分散するのが安全
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)
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