日本株で8000万円を運用する個人投資家の話

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

日本株で8000万円を運用する個人投資家の話

週末に個人投資家のセミナーに参加してきました。マネックスの勉強会のビデオ・DVDも販売しているクラビス主催の「バリュー投資セミナー」です。http://www.clubrich.jp/monex_video.html

講演者の方は30代前半の男性会社員。仕事の傍ら個人投資家として株式投資をやっているわけですが、実際に自己資金で投資をした結果が公表されています(取引履歴はディスクローズされておらず本人の計算による結果です)。
まだ2年間の投資期間ですが結果は市場平均を大幅に上回っています。
2002年4月〜12月 +40.3%(TOPIX▲20.0%)
2003年1月〜12月 +66.9%(TOPIX+23.8%)
2004年1月〜3月  +42.9%(TOPIX+12.9%)

投下した資金は合計で約3千万円。これが直近では8500万円以上になっています。2002年の相場低迷期も含めてのリターンです。

●バリュー株とは
彼の投資方法は一言で言えば「バリュー株投資」です。バリュー株とは割安株とも言われ、利益、資産、配当等の水準からみて株価が割安だと思われるものを選んで、長期投資をする方法でリターンを実現しました。

●バリュー株のリターン
バリュー株の定義には様々なものがありますが、例えば企業の資産価値と株価との関係から低PBRをバリュー株、高PBRをグロース株と分類する方法があります。2つのグループのインデックスを比較すると、長期ではバリュー株の方が良好なリターンであるという結果もあります。

バリュー株のリターンが良好な理由としては、2つの仮説があります。

(1)株価は市場で過剰反応しやすいという考え方。株価は悪い情報も良い情報も過剰に反応する。最終的には売られすぎた銘柄は、適正な株価に修正されこれがバリュー株のリターンとなるからという仮説。

(2)バリュー株は業績低迷を前提に株価が形成される銘柄が多い。そのような期待の中で良い業績が発表されると意外感が強いために株価が大きく上昇する。もし期待はずれでも、元々期待値が高くないから株価は下落しにくい。逆にグロース株は高い成長期待に基づき株価が形成されているので、少し悪いニュースが出ると株価が反応しやすいという仮説。

●バリュー株の銘柄選択方法
彼の投資方法は自分で銘柄選択基準を3つ決めてそれに合う投資対象を探していくという方法でした。具体的な数字は書けませんが、PER、自己資本比率、配当利回り、時価総額と実質会社価値との比較といったデータを計算し、それらを元に自分の投資基準に合ったものに資金を投入していきます。

また売却のタイミングも明快です。次の3つのどれかに当てはまると売却です。1.目標の上昇率を達成したとき
2.投資から2年たっても上昇目標に達しなかったとき
3.無配になったとき

つまり購入した株は基本的に2年ぐらいは上がらなくても我慢するつもりで保有し、じっくり値上がりを待つ戦略です。。

●重要なのは勉強することと継続できる精神力
彼の銘柄選択の方法が有効であるかは今後の投資成績も見ていく必要があると思いますが、個人投資家として学ぶべきことはあります。

1つは投資は勉強が必要であるということ。投資手法の研究のためにウォーレン・バフェットとベンジャミン・グレアムの著作を徹底的に勉強し、それを参考に投資を行っています。株式投資にきちんとした投資哲学を確立しているのです。

そしてもう一つは継続できる精神力です。評論家としてマーケットの分析をするのは簡単ですが、自分の考えに基づき、自己資金で運用を続ける精神力がなければ相場低迷期に割安な株を買うことはできません。

投資の極意はみんなが見向きもしない時(割安な時)に投資を静かにはじめ、みんながはじめてブームになった時(割高な時)に静かに売却すること。人と同じことをしてもリターンは保証されません。

彼のホームページは検索エンジンのグーグルに「マネーマスター」と入力すれば見つけることができます。

今回の話のまとめ---------
●バリュー株投資のリターンが良好である理由として2つの仮説がある
●勉強しないと投資は長期的に成功しない
●投資の極意は周りの意見に左右されず継続できる精神力

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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