「アイ」がないと何が違う? − POとIPO

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

「アイ」がないと何が違う? − POとIPO

影の編集長によればIPO(新規公開株)はInstant Profit Opportunity(瞬間的に利益が得られる機会)の略らしいです(マネックスメール1月17日増刊号より)。

もちろんジョークですが、IPOから「アイ」を取ったPO(既公開会社の公募・売出)はご存知でしょうか。IPOに比べ若干地味なPOを今回ご紹介しましょう。

IPOを知らない方はこちら
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/kabushiki/ipo/index.html

●POとは?
POとはPublic Offeringの略で、既に上場している会社が増資や保有株式の売却をする際に、一般投資家に株式を取得させることです。株式市場に新たに株式が供給されると同時に、新しい株主ができるので、その株式の流動性が向上すると言われています。

●申込みまでの手続きはIPOと同じですが・・・
PO(既公開会社の公募/売出)の申込みもIPO(新規公開)と同様にブックビルディングから始まります。ブックビルディングとは、投資家から株数と価格に関する需要を積み上げてもらい、その結果により価格を決定する方法です。

IPOとPOの大きな違いは、IPOの場合には、株価は○○円というように「価格」を申告するのに対し、POの場合は既に公開しているので市場価格があり、そこからの「ディスカウント(割引)率」を申告します。

例えば、POのブックビルディングでディスカウント率が2%〜4%と提示されたら、一番高い価格で申告する場合は割引率は小さい方の2%です。POでは上限価格は数字の小さい方でIPOとは反対になりますから勘違いしないよう注意が必要です。

なお最終的には、決まった価格より高く(つまり低いディスカウント)申し込んでいても公募売出価格は1つなので、決定した価格で購入できます。

●過去の実例
実際にマネックス証券が取り扱った例を見てみましょう。株式会社エービーシー・マートが東証上場に伴い売出を行ったケースです。

ブックビルディングの時には時価からのディスカウント率として3〜5%の範囲で需要申告を実施しました。ディスカウント率が4%に決定され、その結果売出価格は決定日の引値1260円に対し4%ディスカウントの1209円となりました。そして受渡日である11月22日の寄付は1280円、引値は1400円。このケースでは公募売出価格を時価が上回りました。

POはIPOと同様、価格決定後に時価が下がり、公募売出価格を下回る場合もあり得ます。その場合、損失が発生することになります。

●POの活用法
POのメリットは3つあります。
まずディスカウントで価格が決定しますから時価より低い価格で購入できる可能性あります。また買付けの際に株式売買手数料がかかりませんから通常の株式購入に比べコストを引き下げることができます。さらにPOを実施した株式では株式数の増加によって流動性が向上することが期待できます。

一方でPOで申し込む場合は購入日を選択することができません。日程が決められているので機動的に取引日を変更するといったことはできなくなります。
POでの申込みも値下がりのリスクは通常の株式取引同様に存在します。手数料がかからないから、割引で購入できるから、という理由だけで申し込むのは本末転倒です。

POを実施する企業が投資対象として魅力的である、という判断ができるのであれば有利な条件で購入できる可能性のある取引方法として検討する、というのが資産設計的見地からの正しい判断方法です。

●これからのPO
マネックスが取り扱うPOの最新情報はこちらでご覧いただけます。
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/kabushiki/ipo/meigara/index.html
IPOのように「瞬間的」とはいかなくても、POがProfit Opportunity(利益機会)になれば良いですね。

今回の話のまとめ---------
●POは割引で株式を購入でき、手数料がかからないメリットがある。
●流動性が向上することも期待できる。
●魅力的な投資対象であるとすれば活用を検討する価値がある。

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧