外貨投資の2つのポイント

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

外貨投資の2つのポイント

先月外貨預金の新聞広告で、公正取引委員会から警告を受けた銀行がありました。為替手数料の支払いで生じる元金の減額分を補うため、利息が減ることを明示していなかったというのが理由です。

報道によれば例えば、豪ドル建て定期預金で1000万円を1年間預け入れ為替相場に変動がない場合の受取利息を金利4.5%で約35万2400円。ところが為替手数料を含めた実質利息はその約3分の1、約12万円にしかならないとのこと。為替手数料のインパクトの大きさがわかると思います。

●外貨取引は「手取りで計算」する
だからといって外貨投資は手数料が高いからやらないほうが良いわけではありません。手数料を考えて商品選択をしなければならない、ということです。
手数料は「手取りで計算」しないと実感できません。これに関しては何回も取り上げていますので参考にしてみてください。

外債投資ってどうよ
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/003751.html
金利12%のユーロ建外貨預金で儲ける方法
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/003886.html

さて、マネックスでは現在米ドル3年債の販売をしています。今回は手数料に加えもう一つ、長期の債券で運用するメリットを説明したいと思います。
●米国の金利は「立っている」
米国の金利は長期の金利の方が短期金利より高くなっています。これは将来金利の上昇が予想されているからです(本当に上がるかはわかりません)。たて軸に金利、横軸に期間を取ってグラフを作るとアメリカの金利は期間が長ければ高くなる右肩上がりになります。このグラフを「イールドカーブ」と呼び、右肩上がりの時は「立っている」と言います。

マネックスで販売している商品で比較をすると米ドルMMFは0.61%(6月2日現在)、米ドル3年債は2.72%。単純比較はできませんが3年債は米ドルMMFの4倍以上です。長期の債券を購入すればその間資金が固定されます。一方で相対的に高い金利でリターンも確定できるので「損益分岐点」を下げることができます。

●損益分岐点とは
今回の世銀債を例に損益分岐点について説明します。3年債ですから2.72%の年利が3年間確定します。税金(利金に20%)、為替手数料も含めて「手取りで計算」した結果が損益分岐点です。1ドル=110円、1万ドル購入、受け取った金利はドルのまま満期まで保有、という前提での概算です。
マネックスではドルの買付は為替手数料無料ですから、1万ドル購入に必要なのは110万円です。利金は1年で272ドルですから3年間でその3倍です。20%税金で取られますから合計で652.8ドルになります。

つまり10,652.8ドルが当初払った110万円より大きくなれば円での元本が確保されたことになります。実際に電卓で計算してみてください。
110万円÷10652.8=103.30

円にする時は為替手数料50銭かかりますから103.80が損益分岐レートになります。これはマネックスのWebでもご覧になれます。
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/saiken/gaisai/index.html

3年後の1ドルが103.80より円高になっている可能性はどのくらいだと思いますか。それがこの債券投資の元本割れの可能性になります。

外債を購入すると中途解約もできますが、基本的には3年間資金を固定することになります。また今後米国金利が予想以上に上昇すれば米ドルMMFが有利になることもあり得ます。そんなデメリットは裏返せば、金利が固定されているので購入時点で損益分岐点を計算できるというメリットでもあるのです。
●外貨投資は目的に合った商品選択を
外貨投資はコストについて「手取りで計算」することは必須ですが、目的によって商品選択をすることも大切です。1万円からの少額なら米ドルMMF、100万円以上の運用であれば「マネックスFX」、そして長期で固定できる資金なら投資信託あるいはドル債、という使い分けです。

私も今回の世銀3年債を水曜日に購入しました。当面使わないが外貨で運用したい資金であれば米ドルMMFより良い、と判断してのことです。自分が買っている商品だと、このコラムでも説明しやすいですね。

今回の話のまとめ---------
●外貨投資ははじめる前に為替手数料を「手取りで計算」してから
●当面使う予定がない資金なら金利の高い長期債にするのも一つの選択肢●外貨投資は期間、運用金額に合わせて商品選択を

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 資産設計部 内藤 忍)

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