金融商品のカラクリ

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

金融商品のカラクリ

金融商品は次から次へと新しいものが登場します。新しい投資分野を提供してくれる商品もありますが、一方でコスト高で個人にとってメリットの少ない商品であっても宣伝して有名な商品はナゼか売れてしまうようです。買ってはいけない金融商品を見分けるにはどうしたら良いのでしょうか。

●その1 − お試し高金利の外貨預金
一見高金利の外貨預金のカラクリについては今までもこのコラムで何回か取り上げました。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/002230.html
何度も繰り返しになりますが、外貨取引で注意が必要なのは為替
手数料です。高金利に惑わされて為替手数料を取られすぎないように気をつけましょう。

今でもこんな外貨のキャンペーンが宣伝されています
300万円以上預けるとオーストラリアドル預金の金利が通常2%に11%が上乗せされて13%という商品です(数字は9月1日現在)。

●小さく書いてある字を良く見てみよう
よく見るとこんなことが書いてあります。金利は年利表示であり、利息の計算期間は1ヵ月となります。つまり13%の金利は1年の12分の1の期間だけということです。翌月からは通常の2%の金利になってしまいます。

この銀行の場合為替手数料は豪ドルの場合片道1円、往復で2円となっています。1豪ドル=80円としても2円は2.5%に相当します。2ヶ月目からは2%で運用では1年でも金利より為替手数料の方が高いことになってしまいます。

それもきちんと掲載されています。こんなコメントが小さく書いてあります。「1ヵ月間のみ運用し、再度円に戻した場合は、為替の変動がなかった場合でも、元本割れとなりますので、ご注意ください。」

ちなみに金利は税引前であり20%源泉分離課税です。また外貨預金は預金保険の対象ではないこと、外貨定期預金は中途解約できないこと、もちゃんと書いてあります。ただし、説明を隅から隅まで読まないと気が付きません。
●その2 − 無事故ボーナス付き保険
最近テレビで派手に宣伝しているのは無事故ボーナス付きという保険です。例えば30歳男性の場合月々3870円で病気やケガで入院したら日額1万円の給付金が受け取れる、という商品です。10年満期なのでこれを10年続けると50万円近い支払いになります。

しかしこの商品よく見るとこんなことが書いてあります。1回の入院の保障期間を60日に設定することで、保険料を低く抑えています。つまり、60日を超える入院にはこれだけでは不十分ということです。しかも10年掛け捨て、つまり10年経ったら何も残らないわけです。

その代わり無事故なら満了時に「うれしい」ボーナス20万円が受け取れます、ということですが、ボーナスをもらうためには入院で受け取る給付額よりボーナスの20万円の方が多い場合、入院請求をすべきか悩ましい状況になります。あまりうれしくない状況です。

となるとこの商品が役に立つのはどんな場合になるのでしょうか。不幸にして入院してしまい、払い込んだ金額より給付が多くなるケースということでしょうが、総額で10年間に50万円近く払うにしてはメリットが小さいと思うのは私だけでしょうか。

20万円欲しさに請求しないのであれば、そもそもそんな保険に入らないで自分で毎月資金をプールしてはどうでしょうか。

●CMで有名な商品はコスト高
これらの商品に共通するのは宣伝が行われ、皆が買っている、皆がはじめている、といった雰囲気でついつられて買ってしまう商品であるということです。
宣伝費用がかかっている商品はコストが商品価格に上乗せされている。考えてみれば当たり前のことですが、金融商品を自分で調べないで選択するとコスト高商品に資金を投じてしまいます。CMを見たらその商品のコストがどこにあるか考えてみましょう。

金融の世界ではリスクを取ってもリターンが得られないこともあります。しかしが、コストを下げることは確実にリターンを上昇させます。商品のカラクリで気が付かない間に見えないコストを負担させられないように注意しましょう。
今回の話のまとめ---------
●新しい金融商品には買うべきもの買ってはいけないものが混交している●商品概要は小さな字で書いてある部分をよく読もう
●宣伝費用がかかっている商品は結果としてリターンを低くする

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 内藤 忍)

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