2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
日本の株式の代表的インデックス(市場全体の動きを知るための指標)であるTOPIX(東証株価指数)は2004年8月末で1年前に比べ13.89%の上昇(配当込み)となっています。日本株で銘柄選択をして資産運用された方はこの上昇率がベンチマーク(評価の基準)となります。
株を自分で選んで投資をしているのにこのベンチマークを上回る運用成果が実現できなかった場合、その理由を考える必要があります。これから説明する3つの理由に思い当たるフシがないか考えてみてください。
<理由1>感情に支配されるから
人間はどんなにクールで冷静だと言われている人でも感情的な動物です。しかも株式取引をすると更に感情的になります(このワクワク感がたまらないという方も多いと思います)。そんな感情に基づいて投資判断をすると値上がりした銘柄はすぐに売ってしまい、値下がりした銘柄だけが塩漬け株として損をしたまま残る取引をしてしまいがちです。これは行動心理学で説明されているもので戦略を持たずに取引を繰り返すと、知らない間にワナに陥ってしまうのです。
今保有している株式の評価損益を確認してみてください。儲かっている株を売却してしまい(利食い)、評価損の銘柄ばかりが残っていませんか。
<理由2>勉強しないから
自分で株の銘柄を選んで投資するのはアクティブ運用という運用方法です。自分で銘柄を選んでインデックスに勝とうとするわけですが、当然のことですが、アクティブ運用をやっている人全員がインデックスに勝てるわけありません。インデックスを上回る成功者がいるということは、インデックスよりも低いリターンしか実現できなかった運用に失敗した人が存在するということです。
投資の勉強もせずにいきなり自分で銘柄を選んで株式投資をはじめることは、バットとグラブを買ったばかりの少年がいきなり大リーグでプレイしようとするようなものです。株式市場で経験や知識に勝るプロの投資家、個人投資家で会社四季報を暗記しているような人たちを相手に勝ち目はありません。
マネー雑誌などで自分の好きな商品を作っている「身近な会社」に投資しよう、といった記事を見ることがあります。会社の経営内容や株価の水準など最低限のことを調べもせず投資をしても「マーケットのカモ」になるだけです。
投資は勉強しないと儲からないのです。
<理由3>リスクを取りすぎるから
投資に失敗して資産が減ってしまったら、どうしますか。例えば自分の資産の10%、20%といった損失であれば将来取り返すこともできるでしょうが、自分の資産の半分以上が無くなってしまったら、もう投資はやめようということになりかねません。ゲームオーバー(運用中止)になってしまうのです。
例えば日本株の個別銘柄投資をした場合、このように資産が大きく目減りして「株は危険で儲からない」と途中で運用をやめてしまう可能性が高まります。
資産全体がどの位のリスクを取っているかを常に認識し、最悪のシナリオでも資産全体の例えば20%位までの損失に食いとどめることができれば、(リカバリーは大変ですが)まだゲームを続けることができます。
投資をする場合、まず考えるのはどの位儲けられるのか、というリターンですが、実はリスクを先に考えてから運用資産を決定しないと知らないうちにこのゲームオーバーリスクを取ってしまうことになります。
●すぐに運用成果を改善する方法
株式投資がうまくいかない3つの理由をあげましたが、これらに当てはまる、という方はそれぞれに対策を取れば、運用成果を改善できる可能性があります。
感情に支配されない投資方法を確立する、勉強して自分なりの投資ルールを確立する、特定の資産に偏らない分散投資をしてリスクコントロールを行う、といったことです。今までのコラムで取り上げてきたことばかりです。参考にしてみてください。
投資にかかわる心理学
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004270.html
投資は勉強、また勉強
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004752.html
リスクを取りすぎない分散投資
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004798.html
今回の話のまとめ---------
●アクティブ運用ならインデックスに勝たないと意味が無い
●運用成果が実現できないのは理由がある
●理由を改善すればその分すぐにリターンを改善できる可能性がある
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 内藤 忍)
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。